✅ SIGLENT SPD4000Xシリーズ プログラマブル直流電源で±出力を作る方法

 

  昔ながらの±出力のプログラマブル直流電源を販売しているメーカーは、現在はとても少ない状況です。

  しかしながら、ちょっと工夫すれば SPD4000X でも±出力ができます。

  例として、SPD4000Xの同等性能のCH2とCH3を使用して ±15V を出力してみます。

 


① 前提知識

  • SPD4000Xは 各チャネル絶縁出力  ←ここがいちばんのポイント

  • 負電圧は直接出せない

  • 絶縁ゆえにシリーズ接続で±(プラスマイナス)出力が可能


② 使うチャネル

  • 2つの出力チャネルを使う
    例:CH2 → プラス側
    CH3 → マイナス側


③ 出力電圧の設定

チャネル 出力設定 説明
CH2 +15.00V プラス出力用
CH3 +15.00V 負側に使うが設定はプラスで行う

👉 注意:SPD4000Xは電圧設定は常に正方向で入力する


④ 配線方法

   CH2 + ────────→ 負荷の +端子
   CH2 - ─┬─────→ GND(共通)
   CH3 + ─┘
   CH3 - ────────→ 負荷の -端子
  • CH2- と CH3+ を共通GND(負荷のGNDとも共通にする)として接続するのがコツ

  • CH3の出力は「CH3+をGNDにした結果」→ CH3-が -15V相当になる


⑤ 電流制限の設定

  • 各チャネルごとに適切に設定
    例:負荷が最大0.5A流れる場合
    → CH2, CH3 どちらも 0.5Aに設定する

👉 電流設定を適切に行うことで万一の設定ミスや短絡事故を防止できます。


⑥ 出力オンの順序

1️⃣ 出力設定確認(電圧・電流)
2️⃣ 配線確認
3️⃣ 各チャネルを出力ON

👉 電圧設定間違いのまま出力ONすると誤動作や破損の原因になるので必ず事前確認


⑦ モデルごとのシリーズ接続制限

  • SPD4000Xシリーズはモデルによりシリーズ最大電圧が決まっている。

  • 例:SPD4303Xの場合 → チャネルシリーズ接続最大電圧は 60Vまで

  • 合計電圧が制限を超えないように注意。


⑧ 簡単な内部イメージ

   [CH2内部]

   +15V --- CH2+
   GND --- CH2-

   [CH3内部]

   +15V --- CH3+
   GND --- CH3-

 

   ↓ 接続後

 

   CH2+ → +15V
   共通GND (CH2-  =  CH3+  =  負荷GND)
   CH3- → -15V

 

⑨ 簡易まとめ表

項目 ポイント
電圧設定 両方とも +15Vに設定
配線 CH2- と CH3+ を共通GND
出力順序 設定確認後にON
電流制限 適切に設定しておく
最大電圧 シリーズ電圧制限に注意