差動伝送路におけるScc12とScc21は、それぞれ差動モードでの伝達特性を表すSパラメータです。Scc12は、ポート1からポート2への差動モード信号の伝達を表し、Scc21は、ポート2からポート1への伝達を表します。
 
詳細:
 
  • Scc12 (差動モード伝達係数、ポート1からポート2):
    差動伝送路のポート1に入力された差動信号が、どれだけポート2に伝達されるかを表します。Scc12の値が大きいほど、信号が効率的に伝達されていることを意味します。
  • Scc21 (差動モード伝達係数、ポート2からポート1):
    差動伝送路のポート2に入力された差動信号が、どれだけポート1に伝達されるかを表します。Scc21の値が大きいほど、信号が効率的に伝達されていることを意味します。
     
Sパラメータ (Scc12, Scc21) の重要性:
 
Sパラメータは、高周波回路や伝送路の特性を評価するために用いられる指標です。特に、差動伝送路では、ノイズの影響を考慮する必要があるため、Scc12とScc21の値が重要になります。
 
  • インピーダンス整合:
    Scc12とScc21の値は、伝送路のインピーダンス整合状態を評価するのに役立ちます。インピーダンスが整合しているほど、信号の反射が少なく、効率的な伝送が可能です。
  • ノイズ除去:
    差動伝送路は、コモンモードノイズの影響を抑制するために用いられます。Scc12とScc21の値は、コモンモードノイズに対する伝送路の性能を評価するのに役立ちます。
  • 伝送特性:
    Scc12とScc21の値は、伝送路の周波数特性を評価するのに役立ちます。これにより、特定の周波数帯域での信号の伝達特性を把握できます。
 
 

差動伝送路のSパラメータは、Scc11, Scc12, Scc21, Scc22, Sdd11, Sdd12, Sdd21, Sdd22 のように、同相モード(Common mode)と差動モード(Differential mode)の組み合わせで表されます。Scc12は、同相モードの信号が入力から出力へ伝送される特性を表すため、ノイズ耐性や信号品質の評価に重要なパラメータとなります。

 

より詳しく説明すると、

 
  • Scc12:
    入力ポート1から出力ポート2への同相モード伝送特性。同相ノイズがどの程度出力に現れるかを示す。
  • Scc21:
    入力ポート2から出力ポート1への同相モード伝送特性。Scc12と対称的な特性を示す。
  • Sdd12:
    入力ポート1から出力ポート2への差動モード伝送特性。差動信号がどの程度伝送されるかを示す。
  • Sdd21:
    入力ポート2から出力ポート1への差動モード伝送特性。Sdd12と対称的な特性を示す。

これらのSパラメータを組み合わせることで、差動伝送路全体の特性を評価することができます。

 

差動伝送路のSパラメータは、高周波回路や高速デジタル回路において、信号の伝送品質を確保するために重要な指標となります。

 

参考資料:

 
  • T&Mコーポレーション「Sパラメータの基礎」:[INDEX:1] T&Mコーポレーション
  • Rohde & Schwarz「Sパラメータを理解する」:[INDEX:3] Rohde & Schwarz
  • P板.com「S21で伝送回路の反射量を評価せよ」:[INDEX:4] P板.com