差動伝送路におけるSdc21とScd21は、それぞれコモンモード信号とディファレンシャルモード信号の相互変換を表すSパラメータの一部です。具体的には、Sdc21はコモンモード信号がディファレンシャルモード信号に変換される特性、Scd21はディファレンシャルモード信号がコモンモード信号に変換される特性を表します。
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Sパラメータ:
Sパラメータは、高周波回路における信号の反射や伝送特性を表すために用いられるパラメータです。Sdc21やScd21は、Sパラメータの一種で、特に差動伝送路におけるコモンモードとディファレンシャルモード間の変換特性を評価するために使用されます.
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Sdc21:
Sdc21は、コモンモード信号が入力された際に、ディファレンシャルモード信号として出力される割合を表します。言い換えれば、コモンモードノイズがディファレンシャルモード信号に変換される度合いを示します.
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Scd21:
Scd21は、ディファレンシャルモード信号が入力された際に、コモンモード信号として出力される割合を表します。つまり、ディファレンシャルモード信号がコモンモードノイズに変換される度合いを示します.
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差動伝送路:
差動伝送路は、2本の信号線で信号を伝送する方法で、ノイズに強く、高速伝送に適しています。Sdc21とScd21は、この差動伝送路の性能を評価する上で重要な指標となります.
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Sパラメータの利用:
Sパラメータは、回路の性能評価、設計、トラブルシューティングに役立ちます。Sdc21やScd21の値が小さいほど、コモンモードノイズの影響を抑制できるため、回路設計において重要なパラメータとなります.
例えば、Sdc21の値が小さい場合、コモンモードノイズがディファレンシャルモード信号に変換されにくいため、差動伝送路のノイズ耐性が高いと判断できます。逆に、Scd21の値が大きい場合、ディファレンシャルモード信号がコモンモードノイズに変換されやすいため、ノイズ対策が必要になる可能性があります.
参考資料:
- T&Mコーポレーション「Sパラメータの基礎」:[INDEX:1] T&Mコーポレーション
