
相互変調歪み(IMD)とは
相互変調歪み(Intermodulation Distortion:IMD)とは、電子回路に複数の信号が入力されたときに、回路の非線形性が原因で、元の信号にはなかった新しい周波数の信号が発生してしまう現象です。特に、無線通信システムなどでは、隣接するチャネルに不要な信号が飛び込んでしまう原因となり、通信品質の劣化につながります。
3次相互変調歪み(TOI)とインターセプトポイント(IP3)
相互変調歪みの中でも特に問題となるのが、**3次相互変調歪み(Third-Order Intermodulation:TOI)**です。
これは、2つの入力信号の周波数とに対して、やといった周波数の信号が発生する現象で、元の信号の周波数帯域内に現れやすいため、フィルタなどで除去することが難しくなります。
TOIの性能を評価する指標として用いられるのが、**3次インターセプトポイント(IP3)**です。
これは、入力信号のレベルを上げていったときに、理想的な線形回路であれば発生しないはずの3次相互変調歪みのレベルが、基本波(元の信号)のレベルと理論的に等しくなる点のことです。
グラフにすると、基本波の出力レベルは入力に対して1次で増加するのに対し、3次相互変調歪みの出力レベルは3次で急激に増加します。この2つの直線を延長して、交わる点がIP3です。
IP3の値が高いほど、その回路の非線形性が低く、相互変調歪みに強い高性能な増幅器だと言えます。
まとめると、以下のようになります。
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相互変調歪み(IMD):複数の信号が入力されたときに発生する不要な信号。
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3次相互変調歪み(TOI):IMDの中でも特に問題となる成分。
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3次インターセプトポイント(IP3):TOIの発生しにくさを示す指標で、値が高いほど性能が良い。