SIGLENT(シグレント) ベクトル・ネットワーク・アナライザ SNA5000Aシリーズ

1ビットアンプは、シャープが開発した独自のオーディオアンプ技術です。

従来のオーディオアンプは、アナログ信号をそのまま増幅する「アナログアンプ」や、アナログ信号をマルチビットのデジタル信号に変換して増幅する「デジタルアンプ(D級アンプ)」が主流でした。

これに対し、1ビットアンプは、アナログの音声信号を1秒間に約280万回(CDの約64倍)という高速でサンプリングし、その情報を1ビットのパルス信号(パルス密度変調:PDM)に変換して増幅します。

この技術の主な特徴は以下の通りです。

  • 高音質: 高速サンプリングと1ビット信号によるシンプルな処理により、原音に限りなく近い高音質再生が可能とされています。DSD(Direct Stream Digital)と同じ原理に基づいているとも言われます。

  • 高効率・省エネ: 信号の増幅をスイッチング動作で行うため、従来のアナログアンプと比較して電力消費を大幅に抑えることができます。発熱量も少ないため、機器の小型化にも貢献しました。

  • シンプルな回路構成: 1ビット信号は、ローパスフィルターを通すだけでアナログ信号に戻せるため、回路構成が比較的単純になります。

シャープは1999年に世界初の1ビットアンプを搭載した高級オーディオアンプ「SM-SX100」を発売し、その後、他のAV機器にもこの技術を応用していきました。

現在では、1ビットアンプはデジタルアンプの一種として、その高音質と高効率の特徴から、様々なオーディオ機器に採用されています。

 

1ビットアンプは、DSD(Direct Stream Digital)信号を直接増幅する方式のアンプです。DSD信号は、1ビットのデジタル信号を非常に高い周波数でサンプリングすることで、音の波形を表現しています。この1ビット信号を直接パワーアンプで増幅し、最後にローパスフィルターを通してスピーカーを駆動します。

低歪みの実現について

1ビットアンプは、従来のデジタルアンプやアナログアンプとは異なる方法で低歪みを実現しています。

  • シンプルな構成: DSD信号を直接増幅するため、デジタル-アナログコンバーター(DAC)を必要としないというシンプルな構成が可能です。このシンプルな構成が、信号経路でのノイズや歪みの発生を抑えることに貢献します。

  • 負帰還の活用: 多くのアンプと同様に、負帰還を積極的に活用することで、歪みを低減しています。

  • 高サンプリング周波数: 非常に高いサンプリング周波数(数MHz~数十MHz)で動作するため、可聴帯域外にノイズや歪みの成分を追いやることができます。

これらの技術により、1ビットアンプは非常に低い歪み率を実現し、高品位なオーディオ再生を可能にしています。