
非地上波ネットワーク(NTN)は、地上の通信基地局に依存せず、人工衛星や無人航空機などを利用して広範囲に通信網を構築するシステムのことです。地上ネットワークの補完・拡張として、通信環境が整っていない地域や災害時でも通信を確保する役割を担います。
仕組みと構成要素
NTNは、主に以下の3つの構成要素を連携させてネットワークを構築します。
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衛星通信:
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静止軌道衛星(GEO): 地上から約3万6000km上空にあり、地球の自転と同じ速度で周回するため、常に同じ地点の上空に位置します。広範囲をカバーできますが、距離が遠いため通信遅延が発生しやすいです。
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低軌道衛星(LEO): 地上から200km〜2000kmの低高度を高速で周回する衛星です。地上からの距離が近いため、通信遅延が少なく高速通信が可能ですが、カバー範囲が狭いため多数の衛星(コンステレーション)を連携させる必要があります。
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中軌道衛星(MEO): LEOとGEOの中間に位置し、両者の特性を併せ持ちます。
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高高度プラットフォーム(HAPS): 地上から約20kmの成層圏に滞空する無人航空機や気球です。衛星よりも地上に近いため、低遅延で通信を提供でき、災害時などの一時的な通信基地局としても活用されます。地上基地局と同じ電波を利用できるため、専用の端末が不要になる場合があります。
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地上網:
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既存の4G/5GネットワークとNTNを連携させることで、地上と宇宙をつなぐハイブリッドなネットワークを構築し、途切れのない通信環境を実現します。
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利点と課題
利点
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広域通信の実現: 山間部、海上、離島など、地上の通信網が行き届かない場所でも通信環境を提供できます。
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災害対策: 地上のインフラが損傷した場合でも、空からの通信網を利用することで、安否確認や情報収集が可能です。
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デジタルデバイド(情報格差)の解消: インフラ整備が遅れている地域でも、インターネット接続を提供できます。
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新しいサービスの創出: 船舶の運航管理、自動運転、ドローン配送など、広範囲での通信を必要とする分野での活用が期待されます。
課題
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コスト: 衛星やHAPSの打ち上げ・運用には多額の費用がかかります。
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技術的複雑性: 多数の衛星やHAPSを連携させる高度な技術と、複雑なネットワーク全体の品質を維持・向上させる必要があります。
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周波数利用: 国際的な周波数調整や規制を考慮する必要があります。
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通信品質: 天候や大気の状態が通信品質に影響を与えることがあります。
非地上系ネットワーク(NTN)の3つの種類(出典:NTTdocomo)
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出典(左):https://www.ntt.com/bizon/ntn.html
出典(右):電波監理審議会(第1137回)会議資料 日時 令和6年12月13日(金)
(1)周波数再編アクションプラン(令和6年度版)
T&MコーポレーションではNEXTEM社と協調してSIGLENT社、Ceyear社の電子計測器(スペアナ、VSG、VNA等)による電波評価のシステム提案を行っております。
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