
SG(信号発生器)におけるs2pファイルによる補正とは、信号発生器の出力信号にSパラメータファイルを適用することで、外部回路やケーブルによる損失・位相変化を補償し、DUT(被測定デバイス)への入力信号をより正確にするための手法です。
補正の仕組み
Sパラメータファイルは、主にネットワークアナライザを用いて測定されます。このファイルには、測定対象となる回路やケーブルの周波数ごとの**反射(S11, S22)と伝送(S21, S12)**特性がデータとして含まれています。
SGにこのs2pファイルを読み込ませることで、SGは以下のような補正を行います。
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振幅補正(損失補正): ケーブルの減衰量を考慮し、出力信号の振幅を増幅します。これにより、DUTに入力される信号の振幅が意図した値に近づきます。
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位相補正: ケーブルや回路で発生する位相遅延を考慮し、出力信号の位相を進ませます。これにより、DUTに入力される信号の位相が意図した値に近づきます。
この補正により、ケーブルや外部回路の特性に左右されず、DUTの性能を正確に評価することが可能になります。特に、高周波数の測定では、ケーブルのわずかな損失や位相変化が測定結果に大きな影響を与えるため、この補正は非常に重要です。
補正のメリット
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測定精度の向上: DUTへの入力信号が正確になり、より信頼性の高い測定結果が得られます。
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校正作業の簡略化: 補正ファイルを作成しておけば、ケーブルや外部回路を変更するたびに再校正する手間を省くことができます。
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再現性の向上: 異なる測定環境でも、同じs2pファイルを使用することで、測定結果の再現性が高まります。
SIGLENT ベクトル信号発生器 SSG6082A-V シリーズは標準機能として搭載しております。
T&MコーポレーションではSIGLENT社、Ceyear社の電子計測器(SG、VSG等)による提案を行っております。お気軽にお問い合わせフォームよりご相談くださいませ。
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