
「ノーマルモードリジェクション(Normal Mode Rejection)」は、測定器が持つ特定のノイズを抑制する能力のことです。具体的には、測定信号に重畳されたノーマルモードノイズを除去する性能を指します。
ノーマルモードノイズとは
ノーマルモードノイズは、信号の伝送線路(2つの測定端子)間に共通して発生するコモンモードノイズとは異なり、2つの測定端子間に発生する電位差として現れるノイズです。
これは、測定しようとする信号そのものに直接加算されるため、コモンモードノイズよりも信号への影響が大きくなります。例えば、電源ノイズや誘導ノイズなどがこれに該当します。
測定器の性能指標
このノーマルモードノイズをどれだけ除去できるかを示す指標として、「ノーマルモードリジェクション比(Normal Mode Rejection Ratio; NMRR)」が用いられます。この比率は、通常デシベル(dB)で表され、数値が大きいほどノイズ除去能力が高いことを意味します。
例えば、デジタルマルチメータ(DMM)やデータロガーなどの測定器は、交流(AC)ノイズを除去するために、測定信号を積分する方式(二重積分方式など)を採用しており、この方式によってノーマルモードノイズが抑制されます。
要するに、ノーマルモードリジェクションは、測定器が正確な測定を行うために非常に重要な機能であり、特にノイズの多い環境下での測定においてその性能が問われます。