
ワイヤレス電力伝送(WPT: Wireless Power Transfer)とは、ケーブルを使わずに電力を空間を介して送る技術のことです。別名、ワイヤレス給電や非接触充電とも呼ばれます。
この技術は、スマートフォンや電動歯ブラシの充電器、電気自動車の充電など、私たちの身近な生活から産業分野まで、幅広い用途で活用されています。
主な仕組み
ワイヤレス電力伝送の主な方式には、以下の3つがあります。それぞれ伝送距離や効率に違いがあります。
1. 電磁誘導方式
最も広く使われている方式です。送電側のコイルに電流を流すと磁界が発生し、その磁界が受電側のコイルを通過することで誘導電流が生じ、電力が伝わります。
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特徴:
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伝送距離が非常に短い(数mm〜数cm)。
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コイルの位置がずれると効率が低下しやすい。
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回路が比較的シンプルで、高効率な伝送が可能。
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用途: スマートフォンや電動歯ブラシなどの小型機器の充電。
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2. 磁界共鳴方式
電磁誘導方式を応用した方式です。送電側と受電側のコイルを同じ周波数で共振させることで、離れた場所でも効率よく電力を伝送できます。
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特徴:
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伝送距離が比較的長い(数十cm〜数m)。
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コイルの位置ずれに強い。
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用途: 電気自動車の充電や、工場内の自動搬送ロボットへの給電など。
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3. 電磁波方式
送電側で電力を電磁波(マイクロ波やレーザー)に変換して送り、受電側でアンテナを使ってその電磁波を受け取り、電力に変換する方式です。
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特徴:
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長距離の伝送が可能(数m〜数十m、理論上はさらに遠距離も可能)。
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伝送効率は他の方式より低い傾向にある。
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用途: 将来的な宇宙太陽光発電や、ドローンへの給電などが期待されています。
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- 事例:
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飛行中ドローンへのワイヤレス電力伝送システム 国際電気通信基礎技術研究所(ATR)
- マイクロ波無線エネルギー伝送技術 JAXA
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