
ワイヤレス電力伝送の衛星間利用は、宇宙太陽光発電システム(SSPS:Space Solar Power System)の主要な技術として研究が進められています。SSPSは、静止軌道上に設置した巨大な太陽光パネルで発電した電力を、マイクロ波やレーザー光に変換して地上に送るという構想です。このうち、発電衛星から地上の受電設備までの送電に、ワイヤレス電力伝送技術が用いられます。
仕組み
SSPSは主に以下の3つの要素で構成されます。
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宇宙の発電衛星: 地上から高度約36,000kmの静止軌道上に設置されます。地球の影に入る一部の期間を除き、昼夜や天候に左右されず24時間安定して発電できます。
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ワイヤレス電力伝送: 発電衛星で太陽光から作られた電気エネルギーを、マイクロ波やレーザー光に変換して地球に送ります。
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地上レクテナ: 地上に設置された大規模な受電アンテナ(レクテナ)で、マイクロ波やレーザー光を受信し、再び電力に変換します。送電先はアンテナの向きを変えるだけで柔軟に変更できるため、特定の地域に安定した電力を供給できる利点があります。
課題
このシステムの実用化には、多くの技術的・経済的な課題が存在します。
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高効率な電力伝送技術: 変換ロスや送電ロスを最小限に抑え、高効率で安定した電力伝送を実現する必要があります。
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ビーム制御の精度: 高度36,000kmの距離から地上に、マイクロ波やレーザー光のビームを正確に照射し続けるには、非常に高い精度が求められます。
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大規模構造物の構築: 巨大な太陽光パネルや送電アンテナを宇宙で建設・運用・維持する技術や、そのための輸送コストの削減が大きな課題です。
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安全性: 人体や航空機、電子機器などにマイクロ波やレーザー光が悪影響を及ぼさないよう、安全性の確保と評価が不可欠です。
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宇宙環境への対策: 宇宙デブリとの衝突や放射線による設備の劣化など、過酷な宇宙環境への対策も必要です。
また、SSPS以外にも、人工衛星内部の機器間の電力・データ伝送をワイヤレス化することで、配線の簡略化や開発コスト削減を目指す研究も進められています。
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