920MHz帯の電波は、テレメータRFIDの両方で利用されており、混信が発生する可能性があります。この帯域は、省電力で長距離通信が可能なため、スマートメーターやセンサーネットワーク、物流管理など、多岐にわたる用途で活用されています。


 

920MHz帯の利用状況

 

920MHz帯は、日本国内で以下のような用途に利用されています。

  • テレメータ/テレコントロール/データ伝送用: 電力・ガスメーターの自動検針、工場の設備監視、農業分野の環境モニタリングなど、センサーデータを遠隔で取得・制御するために使われます。

  • RFID: パッシブタグ(電池不要)やアクティブタグ(電池内蔵)を使用した、物品の個体識別や在庫管理などに使われます。アパレルや物流業界での利用が進んでいます。

この2つの用途が同じ周波数帯を使用するため、相互に電波の干渉を起こす可能性があります。


 

混信対策

 

920MHz帯の混信を防ぐため、電波法および関連する技術基準(ARIB STD-T108など)によって、無線機器には以下の対策が義務付けられています。

  • キャリアセンス機能(LBT: Listen Before Talk): 機器が電波を送信する前に、そのチャネルが使用されていないかを確認する機能です。電波が送信されていないことを確認してから通信を開始することで、衝突を回避します。

  • 送信休止時間: 連続して電波を送信することを制限し、一定時間ごとに送信を停止するルールが設けられています。これにより、他の機器が通信する機会が確保されます。

  • 周波数チャネルの使い分け: 920MHz帯には複数のチャネルが割り当てられており、用途や機器に応じて異なるチャネルを使用することで、干渉を低減させます。RFID機器とテレメータ機器が近接して使用される場合、異なるチャネルを選択することで混信リスクを減らせます。

これらの技術基準により、異なるシステムが同じ周波数帯を共有できるよう工夫されていますが、機器の設置場所や設定によっては混信が発生する可能性は依然として存在します。そのため、導入時には通信環境の事前調査や適切なチャネル設定が重要となります。

 

参考:一般社団法人電波産業会(ARIB)

ARIB STD-T106 構内無線局 陸上移動局 920MHz帯移動体識別用無線設備 (RFID)
ARIB STD-T107 特定小電力無線局920MHz帯移動体識別用無線設備 (RFID)

ARIB STD-T108 920MHz帯テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備

 

 

T&MコーポレーションではNEXTEM社と協調してSIGLENT社、Ceyear社の電子計測器(スペアナ, VSG, VNA等)による 920MHz帯の評価に必要な電子測定器、システムの提案を行っております。お気軽にお問い合わせフォームよりご相談くださいませ。
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