
200 MHz帯広帯域移動無線中継通信用無線設備(可搬型)は、主に災害発生時などの緊急事態で使われる公共ブロードバンド移動通信システムの一部です。このシステムは、地上テレビ放送のデジタル化によって空いたVHF帯の一部(200MHz帯)を利用しています。
主な用途
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災害時の情報伝達: 災害現場で撮影された高精細な映像や大量のデータを、災害対策本部などの関係機関に伝送するために使われます。
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多段中継: ビルや山などの障害物が多い場所でも、可搬型基地局の中継機能を使って、通信ネットワークを迂回し、移動局同士の通信を可能にします。
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公共機関の通信: 消防などの公共機関が、機動的で確実な通信網を確保するために利用しています。
技術的特徴
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可搬性: 持ち運びが可能なため、被災地の状況に応じて柔軟に設置・運用できます。
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広帯域: 高精細な映像など、大容量のデータを高速で伝送できます。
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中継機能: 可搬型基地局を設置することで、見通しの悪い地域でも通信エリアを拡大し、通信を確保します。
200 MHz帯広帯域移動無線中継通信用無線設備(可搬型)の変調方式は、OFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing)です。
変調方式の概要
OFDMは、複数の搬送波(キャリア)を近接して配置し、互いに直交させることで、周波数利用効率を高めるデジタル変調方式です。
OFDMの主な利点:
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マルチパス干渉に強い: 複数の電波が様々な経路で届くマルチパス環境下でも、シンボル間干渉を低減できます。
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周波数利用効率が高い: 多数のサブキャリアを密集させて配置できるため、限られた周波数帯域を効率的に利用できます。
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高速伝送に適している: 広い帯域幅を利用して、高速なデータ通信が可能です。
無線設備での利用
この無線設備は、災害時やイベント時など、有線の通信インフラが利用できない状況下で、映像や音声などの大容量データを中継するために使用されます。OFDMは、このような状況で発生しやすいマルチパス環境でも安定した通信を可能にするため、この用途に適しています。
参考:一般社団法人電波産業会(ARIB)
ARIB STD-T119 200 MHz帯広帯域移動無線中継通信用無線設備(可搬型)
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