
RedCap (Reduced Capability)は、5G NR(New Radio)の技術仕様の一つで、IoTデバイス向けにコストと消費電力を削減するために簡素化されたものです。特に、従来の5Gが対象とするeMBB(高速大容量通信)やuRLLC(超高信頼・低遅延通信)と、NB-IoTやLTE-MのようなLPWA(低消費電力広域通信)の中間に位置するユースケースをカバーします。
RedCapは、スマートウォッチ、産業用センサー、監視カメラなど、高いデータレートや超低遅延を必要としないものの、LPWAよりは高速な通信が必要なデバイス向けに設計されています。
RedCapの主な技術的特徴
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最大帯域幅の削減: 通常の5Gが100MHz以上の帯域幅を使用するのに対し、RedCapは最大20MHzに制限されています。
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アンテナ数の削減: 通常の5Gデバイスは複数のアンテナを必要としますが、RedCapはアンテナを1本に減らすことが可能で、デバイスの小型化とコスト削減に繋がります。
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通信速度の制限: ダウンリンクで最大約150Mbps、アップリンクで最大約50Mbpsに制限されています。これは従来の4G LTE Cat-4に相当する速度です。
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変調方式の簡素化: ダウンリンクの変調方式を64QAMに制限することで、デバイスの複雑さを軽減しています。
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半二重FDDのサポート: 半二重(Half-duplex)FDDに対応することで、送受信を同時に行う必要がなくなり、デバイスの設計が簡素化されます。
eRedCap(Enhanced RedCap)とは
eRedCapは、3GPP Release 18で導入されたRedCapの拡張版です。RedCapよりもさらに低コストと低消費電力を追求しており、LTE Cat-1やCat-1 bisレベルのIoTデバイスの移行先として位置付けられています。
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さらに小さい帯域幅: RedCapの20MHzに対し、eRedCapは5MHzまで削減されています。
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より低い通信速度: ピークデータレートは10Mbps程度に抑えられています。
RedCapは中程度の性能が求められるIoTデバイス市場に対応し、eRedCapはさらに低性能で長寿命なデバイスのニーズに応える技術仕様です。
この動画では、RedCapとeRedCapが、LTE-MやNB-IoTといった他の技術と比較してどのような位置づけにあるかが説明されています。
RedCap vs eRedCap – What's the Difference?
T&MコーポレーションではNEXTEM社と協調してSIGLENT社、Ceyear社の電子計測器(スペアナ, VSG, VNA等)による 5G応用製品評価に必要な電子測定器、システムの提案を行っております。お気軽にお問い合わせフォームよりご相談くださいませ。
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