Ceyear社 ベクトル信号発生器 型式:1466P-V(6kHz to 110GHz)

80GHz帯高速無線伝送システムは、ミリ波(30GHz~300GHz)と呼ばれる高周波数帯域を利用した大容量・高速の無線通信システムです。日本では主に71~76GHzおよび81~86GHzの周波数帯が割り当てられており、この帯域は「E-band」とも呼ばれます。光ファイバーの敷設が困難な場所や、災害時の緊急通信、イベント会場での臨時回線など、多様な用途で利用されています。


 

主要な特徴

 

  • 大容量・高速通信: 80GHz帯は広大な帯域幅(5GHz幅×2)を確保できるため、1Gbpsを超える超高速な通信が可能です。最近では、NTTなどが双方向で140Gbpsを超える伝送に成功するなど、さらなる高速化に向けた研究も進んでいます。

  • 低遅延: 大容量のデータを圧縮せずに伝送できるため、非常に低い遅延での通信を実現します。これは、高精細な映像伝送やリアルタイム性を要求される通信に特に有利です。

  • 直進性・指向性: 周波数が高いため電波の直進性が強く、アンテナの指向性が高くなります。これにより、通信範囲は限定されますが、電波干渉を受けにくく、周波数の再利用も容易になります。

  • 小型・軽量: 装置を小型化・軽量化できるため、設置が容易で、臨時回線の構築にも適しています。


 

主な用途とメリット

 

80GHz帯高速無線伝送システムは、光ファイバーに代わる代替手段として利用されることが多いです。

  • 光ファイバーの補間・代替: 河川や鉄道、山間部など、物理的に光ケーブルを敷設するのが難しい場所で、拠点を結ぶ通信回線として利用されます。

  • 災害対策: 災害で光ケーブルが断線した場合のバックアップ回線として、また、被災地で迅速に通信環境を構築するための緊急通信回線として活用されます。

  • 特定拠点間の接続: 工場内の建屋間通信や、街頭に設置された防犯カメラ・Wi-Fiサービスのバックホール回線など、特定エリアのネットワークを構築する際に利用されます。

  • イベントなどでの臨時利用: 短期間で大容量の通信環境が必要なイベント会場などで、臨時のネットワーク回線として利用されます。


 

80GHz帯の課題

 

80GHz帯は電波が直進するため、障害物に遮られると通信が途切れてしまいます。また、降雨による減衰の影響を受けやすいという課題もあります。このため、システムは降雨時でも通信品質を確保できるよう、通信速度を自動調整する機能(適応変調)などを備えています。

 

 

 

参考:電波監理審議会(第1137回)会議資料 日時 令和6年12月13日(金)

電波監理審議会(第1137回)報告資料
周波数再編アクションプラン(令和6年度版)

 

 

 

T&MコーポレーションではNEXTEM社と協調してSIGLENT社、Ceyear社の電子計測器(スペアナ, VSG, VNA等)による 80GHz帯無線の評価に必要な電子測定器、システムの提案を行っております。お気軽にお問い合わせフォームよりご相談くださいませ。
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