
バイパスMMICを備えた広帯域LNAの仕組み
バイパスMMICを備えた広帯域LNAとは、広帯域な信号を低雑音で増幅するLNA(低雑音増幅器)に、信号を増幅せずに通過させるバイパス機能を統合したMMIC(モノリシックマイクロ波集積回路)のことです。これにより、受信する信号の強度に応じて増幅モードとバイパスモードを切り替えることができ、システム全体のパフォーマンスを最適化します。
LNA(低雑音増幅器)とMMIC(モノリシックマイクロ波集積回路)の役割
広帯域LNA
-
役割: アンテナで受信した微弱な高周波信号を、ノイズを極力付加せずに増幅する役割を担います。これにより、後段の回路が信号を正確に処理できるようになり、受信機の感度(雑音指数: NF)を向上させることができます。
-
広帯域: LNAが処理できる周波数帯域が広いことを意味します。これにより、複数の通信規格やチャンネルに対応できます。
MMIC
-
役割: トランジスタ、ダイオード、抵抗、コンデンサなどの複数の電子素子を、1つの半導体チップ上に集積した回路です。これにより、小型化、低消費電力化、量産性の向上、および高周波特性の安定化が実現されます。
バイパス機能の重要性
受信信号の強度が強い場合、LNAで増幅すると信号が飽和し、歪み(非線形性)が発生することがあります。この歪みは信号の品質を著しく劣化させ、通信エラーの原因となります。
-
増幅モード: 受信信号が微弱な場合にLNAを動作させ、ゲイン(利得)を確保します。このモードではノイズを最小限に抑えつつ、信号を適切に増幅します。
-
バイパスモード: 受信信号が強い場合にLNAを停止させ、信号を増幅せずに低損失で通過させます。これにより、LNAの非線形性による信号の歪みを回避し、消費電力も大幅に削減できます。
このバイパス機能により、受信機のダイナミックレンジ(受信可能な信号強度の範囲)を拡張し、様々な電波環境下で最適な性能を維持することが可能になります。これにより、基地局、Wi-Fiルーター、スマートフォンのような幅広い無線通信機器に応用されます。
T&MコーポレーションではNEXTEM社と協調してSIGLENT社、Ceyear社の電子計測器(スペアナ, VSG, VNA等)による 広帯域アンプおよび応用製品評価に必要な電子測定器、システムの提案を行っております。お気軽にお問い合わせフォームよりご相談くださいませ。
https://tm-co.co.jp/contact/