SIGLENT(シグレント)  RF信号発生器 SSG5000Aシリーズ

GPSは、アメリカが開発・運用している全地球測位システム(GNSS: Global Navigation Satellite System)です。地球上空の人工衛星が発信する電波を受信することで、現在地の位置情報を測定します。

 

GPSの仕組み

 

GPS衛星は、高度約2万kmの軌道を周回しており、それぞれが原子時計で正確な時刻情報を持っています。この衛星から発信される電波には、衛星自身の正確な位置情報と時刻が含まれています。

地上にあるGPS受信機(スマートフォンやカーナビなど)は、複数の衛星からの電波を受信し、その電波が届くまでの時間を計測します。電波が光の速度で進むことを利用し、各衛星までの距離を算出します。この距離情報をもとに、三辺測量(トライラテレーション)の原理で受信機の正確な位置を特定します。正確な位置情報を得るためには、通常4機以上の衛星からの信号を受信する必要があります。

 

GPSの周波数

 

GPS衛星は、複数の周波数帯の電波を発信しています。主な周波数帯は以下の通りです。

  • L1: 1575.42MHz - 主に民間向けに利用されるコード信号(C/Aコード)が送信されます。

  • L2: 1227.60MHz - 軍事用途が主でしたが、現在は民間でも利用できるL2C信号が追加されています。

  • L5: 1176.45MHz - 航空機向けに開発された信号で、高い精度と信頼性を持っています。

これらの複数の周波数を使用することで、大気中の電離層による誤差を補正し、測位の精度を向上させることができます。また、最近のGPS受信機は複数の周波数に対応しているため、より正確な位置情報を提供できます。


 

補足:GNSSについて

 

GPSは、アメリカの衛星測位システム固有の名称ですが、同様のシステムは世界各国で開発・運用されています。これらを総称してGNSSと呼びます。

代表的なGNSSには、アメリカのGPSのほか、ロシアのGLONASS、EUのGalileo、中国の北斗(BeiDou)、そして日本の準天頂衛星システム「みちびき」などがあります。現在の多くのGPS受信機は、複数のGNSSを組み合わせて利用することで、測位の精度や信頼性をさらに高めています。