
高速光電子技術、光子集積、光電子融合集積は、いずれも光と電子を利用して高速・低消費電力な情報通信や情報処理を実現するための技術です。これらは密接に関連しながら、それぞれ異なる側面や段階を指しています。
💡 高速光電子技術
高速光電子技術は、光信号と電気信号の変換を高速で行うための技術です。具体的には、光を電気に変えるフォトダイオードや、電気を光に変えるレーザーダイオードなどのデバイスを高速化することを目指します。これにより、光通信やコンピュータ内部のデータ伝送速度を飛躍的に向上させることができます。
💡 光子集積
光子集積(フォトニック集積)は、光子(フォトン)を情報伝送媒体として利用する技術です。電気信号の代わりに光信号をチップ内で伝送するため、光ファイバーと同様に高速かつ低損失な通信が可能になります。具体的には、シリコン基板上に光の通り道である導波路や、光を制御するための光変調器、光スイッチなどのコンポーネントを微細加工技術を用いて集積化する技術です。これにより、光回路を小型化し、大量のデータを一度に処理できるようになります。
💡 光電子融合集積
光電子融合集積は、光子集積をさらに発展させた技術で、光子集積回路と電子集積回路を一つの基板上に統合するものです。従来の電子回路では、チップ間やボード間のデータ通信がボトルネックとなり、高速化や消費電力の改善が難しくなっていました。光電子融合集積では、処理能力に優れた電子回路と、高速・低消費電力な光伝送路を一体化することで、そのボトルネックを解消します。これにより、データセンターやAI、スーパーコンピュータなどの高性能コンピューティングにおいて、大幅な高速化と省エネルギー化が期待されています。
これらの技術は、それぞれ独立した概念ではなく、高速光電子技術によって高速な光-電変換が実現され、それを光子集積と組み合わせることで光回路が構築され、さらに電子回路と統合することで光電子融合集積へと進化していく関係にあります。特に、光電子融合集積は、今後のデジタル社会を支える基盤技術として、大きな注目を集めています。
参考:NTT RDF2024 技術セミナー「光電融合技術とスーパーコンピュータの未来」
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