SIGLENT(シグレント)SDS5000X HDシリーズ デジタル・オシロスコープ

3相電圧形インバータにおける180度通電120度通電の主な違いは、スイッチング素子のオン期間とそれによって生じる出力波形、そしてその用途にあります。

 

180度通電

 

180度通電方式は、各相の上下アームにあるスイッチング素子が、1周期の180度ずつ交互にオンになる制御方法です。

  • 特徴:

    • 常に2つのスイッチング素子がオンの状態を維持します。これにより、出力端子間の電位が常に定まります。

    • 出力される線間電圧は、矩形波に近い波形となります。

    • 電圧利用率が高く、効率的な駆動が可能です。

    • 一般的に、ACサーボモータ誘導モータの駆動に広く用いられます。

 

120度通電

 

120度通電方式は、各相のスイッチング素子が、1周期の120度ずつオンになる制御方法です。

  • 特徴:

    • 常に2つ以上のスイッチング素子がオンになることはありません。特定の期間で、スイッチがすべてオフになるゼロ電位期間が存在します。

    • 出力電圧波形にゼロ電位期間が含まれるため、180度通電方式に比べて電圧利用率は低くなります。

    • ブラシレスDCモータ(BLDCモータ)の駆動によく用いられます。この方式では、モータの回転子の位置に応じて通電相を切り替えるため、トルクリプル(トルクの変動)が生じやすいです。

    • 制御回路が比較的単純で、安価にシステムを構築できるという利点があります。


 

まとめ

 

項目 180度通電 120度通電
素子のオン期間 180度 120度
同時にオンの素子数 常に2つ 最大2つ、ゼロ電位期間あり
出力電圧 矩形波に近い 矩形波でゼロ電位期間あり
電圧利用率 高い 低い
主な用途 ACサーボモータ、誘導モータ ブラシレスDCモータ (BLDCモータ)
制御の複雑さ 比較的複雑

比較的単純

 

 

SIGLENT(シグレント)SDS5000X HDシリーズ デジタル・オシロスコープ

8チャンネル・オシロスコープによる三相電力解析では、全相への同時接続が可能。三相電圧・電流信号を同期計測し、波形とパラメータをリアルタイムで高精度に取得。位相差の直接観察・比較による相平衡の確認を支援。高速フーリエ変換(FFT)機能により、多チャンネル対応オシロスコープは三相信号の高調波解析を実行。オプションの三相解析ソフトウェアは、電動機のベクトル線図試験、電力量評価、リプル解析、効率評価をサポート。