
ブラシレスDC(BLDC)モーターは、ブラシ付きDCモーターに比べてEMIノイズが少ないです。ただし、ブラシ付きDCモーターとは異なる種類のノイズが発生します。
ノイズ発生のメカニズム
ブラシ付きDCモーター
ブラシ付きDCモーターのノイズは、主にブラシと整流子の接触・摩擦によって発生します。この物理的な接触は、火花(アーク放電)を伴うことが多く、広範な周波数帯域で強力な伝導性および放射性EMIノイズを発生させます。ブラシの摩耗による物理的なノイズも発生します。
ブラシレスDCモーター
BLDCモーターは、ブラシと整流子の物理的な接触がないため、火花によるノイズが発生しません。しかし、電子回路でモーターの回転を制御しているため、この電子制御がノイズ源となります。具体的には、モーターの巻線に電流を流すために使用されるPWM(パルス幅変調)制御が、高周波のスイッチングノイズを発生させます。
このPWMスイッチングノイズは、主にモーターの電源ラインを通じて伝わる伝導性ノイズです。また、配線やモーターコイルから放射される放射性ノイズも発生します。
対策
BLDCモーターのノイズ対策としては、以下のような方法が一般的です。
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フィルターの追加: 電源ラインにコモンモードチョークコイルやコンデンサなどのEMIフィルターを挿入し、伝導性ノイズを抑制します。
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シールド: モーターや電子回路、配線をシールドすることで、放射性ノイズを抑制します。
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PWM周波数の調整: スイッチング周波数を調整することで、特定の周波数帯域のノイズを低減できる場合があります。
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配線の工夫: 配線を短くしたり、シールド付きのケーブルを使用したりすることで、ノイズの放射や伝導を減らします。
適切な設計と対策を講じることで、BLDCモーターのEMIノイズは効果的に管理できます。
参考:
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