SIGLENT(シグレント) ベクトル・ネットワーク・アナライザ SNA6000Aシリーズ

TWTATraveling Wave Tube Amplifier の略で、日本語では進行波管増幅器と呼ばれます。

これは、主要な増幅素子としてTWT (Traveling Wave Tube: 進行波管)という一種の真空管を用いたRF (Radio Frequency) 増幅器です。


 

進行波管増幅器(TWTA)の概要

 

TWTAは、高周波・広帯域で大電力の信号増幅が必要な用途で特に利用されます。

  • 構成:

    • TWT (進行波管): 実際に高周波信号を増幅する真空管(電子管)部分。

    • 電源部: TWTを動作させるために必要な高電圧電源や制御回路など。

    • 一体化された装置全体をTWTA(進行波管増幅器)またはHPA(High Power Amplifier)と呼びます。


 

原理

 

TWTの増幅原理は、電子ビームと遅延回路を伝搬する高周波(マイクロ波)の相互作用を利用するものです。

  1. 電子ビームの生成: 電子銃から高速の電子ビームを放出します。

  2. 遅延回路の利用: 電子ビームと同じ方向に沿って、高周波信号を伝搬させる遅延回路(ヘリックス形など)が設けられています。これにより、電波の伝搬速度を電子ビームの速度に近づけます。

  3. 相互作用と増幅: 電子ビームの速度と、遅延回路上の電波の位相速度がほぼ等しいとき、電子ビームの持つ運動エネルギーが効率良く高周波エネルギーに変換され、マイクロ波信号が大きく増幅されます。


 

特徴と主な用途

 

特徴 説明
大電力・高利得 トランジスタなどの半導体増幅器を凌駕する大出力(数Wから数kW)での増幅が可能です。
広帯域 遅延回路に空洞共振器がないため、非常に広い周波数帯域で増幅が可能です。
高周波対応 マイクロ波からミリ波帯域までの高周波信号の増幅に適しています。

 

主な用途 説明
衛星通信 放送衛星や通信衛星において、地上へ向けて大出力の信号を送信するための最終増幅段(アンプ)として不可欠です。
レーダーシステム 大電力のパルス信号を送信し、遠方の目標を検出・追尾するために使用されます。
電子戦 電子妨害(ジャミング)などの高出力のRF信号を生成するために利用されます。
地上マイクロ波通信 かつての基幹通信回線の中継増幅器として利用されていました。

 

T&MコーポレーションではNEXTEM社と協調してSIGLENT社/Ceyear社の電子計測器(スペアナ、VSG、VNA)によるTWTAsの評価に必要なシステムの提案を行っております。お気軽にお問い合わせフォームよりご相談くださいませ。http://tm-co.co.jp/contact/