5G RedCap(Reduced Capability)は、5G New Radio (NR) の機能を一部制限することで、IoT (Internet of Things) 端末向けに低コストと低消費電力を実現した新しい通信規格です。別名 5G NR-Light とも呼ばれます。
フルスペックの5Gほどの高速通信や超低遅延は必要ないものの、従来のLTE Cat.1やCat.M1よりも高い性能(中〜中高速通信)が求められるIoTユースケースのために、3GPP Release 17で策定されました。
主な特徴とメリット
| 特徴 | 内容 | メリット |
| 機能の削減 | 帯域幅の制限(Sub-7 GHz帯で最大20MHz)、アンテナ数の削減(フル5Gの4本に対し、RedCapは2本または1本)、全二重通信(FDD-NR)ではなく半二重通信を採用など。 | 端末の複雑性が低下し、小型化、低コスト化を実現します。 |
| 低消費電力 | eDRX(Extended Discontinuous Reception)機能により、端末が信号を受信しない「スリープ」状態の時間を長く設定でき、バッテリーの長時間駆動が可能になります。 | 電池駆動のウェアラブルデバイスやセンサーの運用性が向上します。 |
| 中~中高速通信 | LTE Cat.1/Cat.4と同等のデータレート(最大$100 \text{Mbps}$未満)を維持しつつ、5Gの基盤(ネットワークスライシング、低遅延性、高度な測位など)を活用できます。 | LTEでは対応が難しかった、中程度のデータレートが必要な用途をカバーします。 |
主な応用分野(ユースケース)
5G RedCapは、特に以下の分野での活用が期待されています。
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ウェアラブルデバイス
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スマートウォッチ、フィットネストラッカー、ARグラスなど。小型化とバッテリー寿命の向上が重要です。
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産業用IoT (IIoT)
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製造ラインのセンサー、AGV(自動搬送ロボット)の連携、インフラ監視。高い信頼性と、ある程度のデータレートが必要です。
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監視カメラ・ビデオ監視
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超高画質ではないものの、安定した映像ストリーミング(中速通信)とデバイスの小型・低コスト化が求められるモバイル監視カメラなど。
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ヘルスケア
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遠隔診療、生体情報リアルタイム取得用の医療機器。
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5G RedCapは、フルスペックの5Gと、超低速・超低消費電力のLPWA(LTE-MやNB-IoT)との間の性能帯域を埋めることで、5GのIoTエコシステムを拡大する役割を担っています。
下記資料では「5G RedCap」についてApple Watchを例に詳しく解説されています。
藤岡雅宣の「モバイル技術百景」
Apple Watch新シリーズがサポートするRedCapとは? モバイルネットワークにおけるIoT
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/column/fujioka/2050885.html




