CEYEAR(セイヤー)3674シリーズ ベクトル・ネットワーク・アナライザ

GHz帯における液晶の物理的特性

GHz帯(ギガヘルツ帯)における液晶の物理的特性は、主にその誘電特性に関連しており、特に高周波デバイスへの応用において重要になります。

液晶材料は、マイクロ波帯(GHz帯を含む)において、誘電率(比誘電率)と誘電損失(損失正接)という2つの主要な物理的特性を示します。

 

誘電特性

1. 誘電率

 

  • 液晶分子は異方性を持っているため、電場の向きに対して平行な誘電率と垂直な誘電率が異なります。この差を誘電率異方性と呼びます。

  • GHz帯では、この誘電率(特に平均誘電率や異方性)が、高周波回路やアンテナの設計における信号伝播速度インピーダンスに直接影響します。

 

2. 誘電損失

 

  • 損失正接は、材料がどれだけ電磁波のエネルギーを熱として吸収・散逸するかを示す指標です。

  • GHz帯の信号は高周波であるため、わずかな損失でも信号減衰に大きく影響します。

  • 液晶材料がこのGHz帯で低い誘電損失(すなわち、tanδが小さいこと)を持つことは、高速通信高周波デバイス(例:移相器、可変キャパシタ、高周波スイッチング素子など)への応用において非常に重要な特性となります。


 

応用上の特徴

 

液晶がGHz帯で持つこれらの特性は、主に液晶ポリマー(LCP)フィルムや、ミリ波/テラヘルツ波デバイスの分野で活用されています。

  • 低損失性:低損失の液晶材料は、信号の減衰を抑え、長距離または高速でのデータ完全性を保証します。

  • 低発熱性:発熱が少ないため、温度上昇による信号の歪みや材料の劣化の影響を受けにくいとされます。

  • 温度安定性:高周波・高温環境下での安定した動作に貢献します。

  • 電気的な可変性:印加電圧によって液晶分子の配向が変化し、その結果、誘電率が変化することを利用して、電気的に特性を制御できる高周波部品(例えば、可変誘電率素子)の開発が進められています。

 

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