ハンドヘルド スペクトラム&ベクトル・ネットワークアナライザー SHA860Aシリーズ

レクテナ(Rectenna)とは、整流(Rectifying)とアンテナ(Antenna)を組み合わせた造語であり、空間を伝わる電波(マイクロ波などの高周波信号)を受信し、それを直流(DC)電力に変換するためのデバイスです。🔋📡

これは、主に無線電力伝送(WPT: Wireless Power Transmission)システムにおいて、送られてきた電力を受け取り、電子機器が利用できる電気エネルギーに変換する「受電部」の役割を果たします。


 

⚙️ レクテナの基本的な構成

 

レクテナは、基本的に以下の2つの主要な部分から構成され、その間にインピーダンスを合わせるための整合回路が配置されます。

構成要素 役割
アンテナ部 空間を伝わる電波(RF信号)を効率よく受信します。ダイポールアンテナやパッチアンテナなど、用途や周波数帯に応じて様々な形状が使われます。
整流回路部 アンテナで捉えられた高周波の交流(AC)電流を、機器が使える直流(DC)電流に変換します。この変換には、順方向電圧降下が低いショットキーダイオードが一般的に用いられます。

 

💡 特徴と応用分野

 

 

1. 高効率な電力変換

 

レクテナの性能は、**電力変換効率(RF信号からDC電力への変換効率)**が非常に重要です。実験室レベルでは80%以上、実用環境でも70%程度の高効率が達成されており、無線送電の鍵となる技術です。

 

2. 主な応用分野

 

  • 無線電力伝送(WPT):スマートフォンやセンサー、ドローンなどへの非接触充電・給電

  • RFエネルギーハーベスティング(RF-EH):Wi-Fiや放送波など、環境中に存在する微弱な電波を収集し、IoTデバイスなどの自立電源として利用。

  • 宇宙太陽光発電(SSPS):宇宙で発電した太陽光エネルギーをマイクロ波に変換し、地上へ送電する際の地上受電施設のキーコンポーネント。

  • RFID(無線ICタグ):リーダーからの電波を受信してICチップを駆動させる電源として組み込まれています。

この動画では、金沢工業大学の伊東教授が、無線電力伝送に使われるレクテナ技術について解説しています。

「無線電力伝送用受電レクテナ」 金沢工業大学 工学部 電気電子工学科 教授 伊東 健治氏

 

 

 

 

 

T&MコーポレーションではNEXTEM社と協調してSIGLENT社/Ceyear社の電子計測器(スペアナ、VSG、VNA)による「Rectenna」の評価に必要なシステムの提案を行っております。お気軽にお問い合わせフォームよりご相談くださいませ。http://tm-co.co.jp/contact/