準天頂衛星システム「みちびき」(QZSS: Quasi-Zenith Satellite System)は、「日本版GPS」とも呼ばれ、日本をはじめとするアジア・オセアニア地域に、高精度で安定した位置情報を提供する日本の衛星測位システムです。
従来のGPSを補完・補強することで、日本の山間部やビル街など、GPSの電波が届きにくい場所でも、安定した測位を可能にし、さまざまな分野の未来を切り開いています。
「みちびき」が拓く未来と高精度測位のメリット
「みちびき」の最大の特徴は、センチメートル級(数cm)の非常に高い精度で位置情報を提供できることです。これにより、社会のさまざまな課題解決や産業の高度化が期待されています。
1. 測位の安定性・高精度化
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GPSの補完機能: 日本の上空の真上に長く滞在するような**「8の字」軌道**をとることで、常時GPSと一体となって利用できる衛星数を増やし、ビル街や山間部での測位の安定性を向上させます。
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GPSの補強機能 (CLAS/SLAS):
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センチメータ級測位補強サービス(CLAS): 誤差数センチメートルの高精度測位を実現し、自動運転技術の基盤となります。
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サブメータ級測位補強サービス(SLAS): 誤差1メートル以下の高精度測位を、安価で小型のアンテナでも利用可能にし、携帯性が必要な用途で役立ちます。
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2. メッセージ機能による防災・危機管理
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災害・危機管理通報サービス(災危通報): 地震や津波などの災害発生時に、緊急情報を迅速かつ確実に伝達します。
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衛星安否確認サービス(Q-ANPI): 災害で地上の通信網が途絶した場合でも、避難所の情報や個人の安否確認情報を「みちびき」経由で伝達・検索できるサービスです。
「みちびき」の具体的な利活用分野
「みちびき」による高精度な位置情報は、既に多くの分野で実用化や実証実験が進んでいます。
| 分野 | 主な利活用事例 | メリット |
| 自動車 | 自動運転・運転支援(高速道路など)、除雪車の自動走行、バスロケシステム | 安全性の向上、渋滞緩和、省人化 |
| 農業 | スマート農業(農業機械の自動走行、精密な肥料・農薬散布)、農地の測量 | 作業の効率化、農作物の品質向上、省力化 |
| 建設・測量 | ICT建機による正確な施工、ドローンによるインフラ点検や測量 | 施工の正確性向上、工期の短縮、省人化 |
| ドローン | 農薬散布用ドローンの高精度制御、インフラ点検、離島間輸送の実証実験 | 効率的なインフラ管理、物資輸送の実現 |
| 海洋 | 漁船の正確な位置特定(CO2削減に貢献)、プレジャーボートの自動着岸、海洋ブイによる潮位計測 | 漁業効率の向上、海上での安全確保 |
| 一般生活 | スマートフォンやカーナビの測位精度向上、ゴルフウォッチでのコース距離測定、視覚障害者向け歩行ナビ | 利便性の向上、より正確なナビゲーション |
T&MコーポレーションではNEXTEM社と協調してSIGLENT社/Ceyear社の電子計測器(スペアナ、VSG、VNA)によるみちびき関連製品の評価に必要なシステムの提案を行っております。お気軽にお問い合わせフォームよりご相談くださいませ。http://tm-co.co.jp/contact/





