Ceyear社 ベクトル信号発生器 型式:1466P-V(6kHz to 110GHz)

デジタルレーダー(Digital Radar)とは、レーダー信号の処理において、従来のアナログ信号処理に代わり、デジタル信号処理技術を大規模に採用した次世代の高性能レーダーシステムです。

特に、自動車の自動運転(ADAS/自動運転レベル3以上)や、高度な監視・防衛システムで注目されています。


 

🆚 アナログレーダーとの主な違い

 

従来のレーダー(特に車載ミリ波レーダー)は、信号処理の一部をアナログ回路で行っていました。これに対し、デジタルレーダーは以下の点で優れています。

特徴 アナログレーダー デジタルレーダー
信号処理 主にアナログ回路で処理 大部分をデジタル回路・ソフトウェアで処理
機能・柔軟性 固定的な性能 ソフトウェアアップデートで性能や機能を変更可能
分解能 比較的粗い 超高解像度(「イメージング・レーダー」とも呼ばれる)
干渉耐性 複数のレーダー波が干渉しやすい 高度な信号処理により干渉を効果的に抑制
アンテナ技術 アナログ移相器などを使用 デジタルビームフォーミング(DBF)技術を採用

 

📈 デジタルレーダーの主なメリット

 

デジタル信号処理とデジタルビームフォーミング(DBF)技術を採用することで、従来のレーダーの課題を解決し、飛躍的な性能向上を実現します。

  1. 超高解像度(イメージング):

    • 信号をデジタル化し、多数の送受信機(チャンネル)をチップに集積することで、角度分解能(ビーム幅)が大幅に向上します。これにより、従来のレーダーでは難しかった、複数の歩行者の分離検知や、停止している小さな物体(段ボールなど)の形状識別が可能になり、より正確な3D環境マップを生成できます。

  2. 柔軟性と進化性(ソフトウェア定義型車両/SDV):

    • ソフトウェアによる制御が核となるため、機能のプログラミングや、購入後のソフトウェアアップデートによる性能改善が可能です。例えば、検知距離や視野角、アルゴリズムを後から最適化できます。

  3. 干渉耐性の向上:

    • 多数の車両がレーダーを搭載するようになると、他車からのレーダー波がノイズとして混入するレーダー干渉が問題になります。デジタルレーダーは、高度な信号処理により、この干渉を効果的に分離・除去できます。

  4. 高度なビーム制御:

    • DBF技術により、アンテナの受信ビームの方向をデジタル演算で精密に制御し、同時に複数の受信ビームを形成したり、妨害波の方向にヌル(電波の感度が低い点)を向けて干渉を抑圧したりする高度な処理(アダプティブ・ビームフォーミング)が実現可能です。

これらの特性から、デジタルレーダーは、完全自動運転(レベル3以上)の実現に向け、カメラやLiDARと並ぶ重要なセンシング技術として位置づけられています。

 

 

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