アンテナ一体型モジュール(AiM: Antenna-in-Module)とは、高周波回路チップ(IC)とアンテナ素子を、一つのパッケージまたは小型の基板上に集積し、モジュール化した製品です。
特にミリ波(5G/6G)や高精度レーダーといった高周波・超高速通信が求められる分野で、そのメリットを最大限に発揮し、製品開発の効率化と性能向上に貢献しています。
💡 AiMの基本的な仕組みと重要性
高周波(ミリ波帯など)の電波を扱う場合、信号が通る配線や基板の材質によって伝送損失(信号の減衰)が大きくなります。この損失を最小限に抑えることが、製品の性能を決定づける重要な要素となります。
1. 構成要素の集積
AiMでは、アンテナ素子と無線周波数IC(RFIC)を極めて近い距離に、多くの場合、専用の高性能な基板上に配置します。
2. AiMのコアメリット
この一体化構造により、以下の重要なメリットが生まれます。
-
伝送損失の最小化: RFICとアンテナ間の配線距離が短くなるため、高周波信号の伝送損失が大幅に低減され、高効率で強力な電波送受信が可能になります。
-
小型化・高集積化: アンテナ素子を基板内に組み込むため、最終製品の小型化に貢献し、多数のアンテナ素子を搭載するアンテナアレイの実現が容易になります。
-
開発の簡素化: 従来の高周波製品では、アンテナの設計・調整に専門的な知識が必要でした。AiMはアンテナ部が完成品として提供されるため、顧客側の開発工数と技術的なハードルを大幅に下げ、製品の市場投入を迅速化します。
🎯 AiMの主な適用分野(ミリ波レーダー用途)
AiMは、特にミリ波レーダーモジュールとして、人やモノの動きを高精度に検知する3Dセンシングの分野で活用が広がっています。
-
見守り・介護(エイジテック)
-
カメラを使わずに、高齢者の呼吸、姿勢、転倒などを非接触で高精度に検知し、プライバシーに配慮した見守りシステムを実現します。
-
-
家電・スマートホーム
-
エアコンや照明などが、室内の人の在室状況や細かい動きをAiMで検知し、自動制御を行うことで、省エネ性と快適性を向上させます。
-
-
セキュリティ・住宅設備
-
プライバシー確保が重要な浴室やトイレなど、カメラの設置が難しい空間での異常検知や防犯システムに応用されます。
-
また、5G基地局や車載ミリ波レーダーなど、高い周波数帯を使用する通信・計測機器の分野でも、AiM技術の採用が進んでいます。




