SIGLENT(シグレント) ベクトル・ネットワーク・アナライザ SNA6000Aシリーズ

Qualcomm(クアルコム)社の「Snapdragon(スナップドラゴン)」モデム-RFシステムは、5Gミリ波(mmWave)技術の実現に不可欠なコアコンポーネント「AiM (Antenna-in-Module)」です。

Qualcommは、この技術を**「QTM」シリーズ**として展開しており、一般的には「Antenna-in-Package (AiP)」とも呼ばれます。


 

⚡ QualcommのAiM (QTM) の特徴

 

Qualcommの「QTM」シリーズのAiMは、主にスマートフォン、タブレット、および固定無線アクセス(FWA)用機器に5Gミリ波通信能力をもたらすために開発されています。

 

1. 完全に統合されたシステム

 

QTMモジュールは、単なるアンテナではなく、以下の機能を一つの小型パッケージに統合しています。

  • アンテナアレイ(素子群)

  • 5G NR(New Radio)無線トランシーバ

  • RFフロントエンドコンポーネント(パワーアンプ、フィルターなど)

  • 電源管理IC (PMIC)

  • フェーズド・アレイ(位相制御)回路

この統合により、高周波(ミリ波)特有の伝送損失を最小限に抑え、モデム(Snapdragon Xシリーズ)からアンテナまでのシステム全体を最適化しています。

 

2. ビームフォーミングとビームステアリング

 

ミリ波の電波は直進性が強く、障害物に弱いため、広いエリアをカバーするには高度な技術が必要です。

  • ビームフォーミング: AiMは、複数のアンテナ素子(最大64素子以上)を搭載し、特定の方向に向けて電波を集中させることで、通信距離と信頼性を向上させます。

  • ビームステアリング: ユーザーが移動したり、スマートフォンの持ち方を変えたりしても、自動的かつ動的に電波の方向を追従し、最適な接続を維持します。

 

3. Snapdragonモデムとの連携

 

QTMモジュールは、QualcommのSnapdragon Xシリーズ 5Gモデム-RFシステム(例:Snapdragon X55, X60, X65, X80など)と組み合わせて使用されます。

  • モデム-RFシステム: これら全体が連携することで、AIを活用した信号処理(Qualcomm 5G AI Suiteなど)や高度な省電力技術(Qualcomm 5G PowerSave)を実現し、優れた性能とバッテリー効率を提供します。

 

4. 主な製品シリーズ(例)

 

  • QTM052: 初期の5Gミリ波対応スマートフォンに採用された、小型モジュール。

  • QTM535 / QTM545 / QTM565: モバイル向けに世代を重ね、小型化とグローバルなミリ波帯域サポートを拡張。

  • QTM527 / QTM547: 固定無線アクセス(FWA)機器向けに、より高出力・長距離通信を可能にしたモジュール。

QualcommのAiM/AiP技術は、5Gミリ波をスマートフォンという小型のデバイスに搭載することを世界で初めて実現し、今日の高速通信インフラの普及を牽引する重要な技術となっています。

 

 

T&MコーポレーションではNEXTEM社と協調してSIGLENT社/Ceyear社の電子計測器(スペアナ、VSG、VNA)によるAiP, AiMの評価に必要なシステムの提案を行っております。お気軽にお問い合わせフォームよりご相談くださいませ。http://tm-co.co.jp/contact/

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