マクロセル環境におけるRIS(Reconfigurable Intelligent Surface:再構成可能なインテリジェント・サーフェス)の設置は、次世代通信、特に6G時代を見据えた重要な課題の一つです。
マクロセル(広いエリアをカバーする通常の基地局)環境でRISを設置する際の目的、課題、および設置シナリオについて解説します。
🎯 設置の主な目的
マクロセル環境でRISを導入する主な目的は、カバレッジ(通信範囲)の拡張と通信品質の向上です。
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カバレッジホールの解消
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ビルや建物の影、地下、高架下など、マクロセルの電波が届きにくいエリア(カバレッジホール)に対して、RISを設置して電波を適切に反射・屈折させることで、通信を可能にします。
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通信品質の向上
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基地局と端末間の直接波が弱い場合や、経路上の障害物による減衰が大きい場合、RISを介した補助的な通信経路を確立することで、受信電力を高め、スループットや接続の安定性を向上させます。
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モビリティ対策
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自動車や電車などの高速移動体は、頻繁に通信環境が変化するため、RISによる高速なビーム追従や経路の維持が求められます。
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🏢 マクロセル環境における設置シナリオ
RISは、その性質上、電波の伝搬特性を変化させる「受動的な中継器」として機能するため、その設置場所が効果に大きく影響します。
| 設置シナリオ | 場所の例 | 目的・効果 |
| 屋外固定設置 | 建物外壁、屋上、街灯、看板など | 特定のエリア(道路、広場など)への電波の向きを制御する。カバレッジホールの解消に特に有効。 |
| 屋外から屋内への浸透 | 窓ガラス付近、建物の外壁など | 基地局からの電波が壁や窓で減衰する問題に対し、RISを設置することで、効率的に電波を屋内に導き入れる。 |
| 道路沿い/トンネル | 道路の壁面、ガードレールなど | 走行中の自動車への安定した通信(特に高速ビーム追従)を実現する。 |
🚧 設置における主な課題と考慮点
マクロセル環境は複雑なマルチパス(多重経路)環境であるため、RISの設置と運用にはいくつかの技術的な課題があります。
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最適な設置場所の決定
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マクロセル環境では、多数のビルや構造物があり、どこに設置すれば最大の効果が得られるか(カバレッジホールを埋められるか、通信品質を向上できるか)を正確に予測する必要があります。これは、設置高や基地局からの距離など、多くの要因に依存します。
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電波経路の把握と制御(チャネル推定弥
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RISを効果的に使うためには、基地局 → RIS → 端末の全経路の電波状態(チャネル)を正確に推定し、RISの位相をリアルタイムで制御する必要があります。この複雑で迅速な制御が、マクロセル環境での最大の課題の一つです。
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電源とインフラ
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RIS自体は受動的な素子で構成されるため消費電力は少ないですが、位相制御用の回路や制御システム、および制御情報を基地局から受け取るための通信インフラ(光ファイバーなど)の設置が必要です。
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モビリティへの対応
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端末が移動する場合、RISは端末の位置を素早く把握し、それに応じてビームの反射方向を高速に切り替える必要があります。
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マクロセル環境でのRISの設置効果については、現在、様々なシミュレーションや実証実験を通じて、その設置高や送受信間距離による効果の依存性が検証されています。
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