SIGLENT（シグレント） ベクトル・ネットワーク・アナライザ SNA6000Aシリーズ

通信業界ソリューション連合（ATIS）のNext G Alliance（NGA）は、

「Channel Measurements and Modeling for Joint/Integrated Communication and Sensing, as well as 7–24 GHz Communication Channels, Phase II」

を発表。

主にNext G Alliance (NGA)という団体が主導する、6G（第6世代移動通信システム）の技術開発を支えるための調査報告書です。

これは、将来のワイヤレスシステムの基盤となる伝搬チャネル（電波の通り道）の特性を、実測とモデル化を通じて詳細に解明することを目的としています。

🔬 調査の主な焦点

この調査報告書は、特に以下の2つの重要な技術分野に焦点を当てています。

1. 統合通信・センシング (Joint/Integrated Communication and Sensing, J/ICAS または ISAC)

• 目的: 通信とセンシング（レーダーなどによる環境認識）の機能を単一の無線インフラで同時に実行する技術（ISAC/JCAS）のためのチャネルモデルを構築することです。

   

   

• フェーズIIでの拡張: フェーズIの基礎的な測定に基づき、フェーズIIでは特にセンシングチャネルモデルを強化しています。

   

   

  • ターゲットモデル: 車両、ドローン、人間などのターゲットからの反射（レーダー断面積, RCS）の特性を詳細に測定・モデル化。

     

     

  • バックグラウンドモデル: 都市のストリートキャニオン（ビルの谷間）などの環境における**クラッタ（不要な反射やノイズ）**の特性をより厳密にモデル化し、センシング性能評価の精度を向上させています。

2. 7–24 GHz 通信チャネル

• 背景: 7 GHzから24 GHzの周波数帯域（特に7～15 GHz）は、6Gにおいて高速大容量と広範囲を両立できる**ミッドバンド（中間帯域）**として非常に重要視されています。

   

   

• 目的: この帯域での電波の伝搬特性（信号の減衰、反射、散乱など）を実測し、既存の国際標準化団体（主に3GPP TR 38.901）のチャネルモデルがこの帯域に適用できるか、また、どのような修正や拡張が必要かを検証しています。

   

   

• フェーズIIでの貢献: 7–24 GHz帯における通信チャネルの追加的な測定を実施し、既存モデルの適用可能性と限界を示す実証データを提供しています。

   

   

🚀 6G標準化への貢献

この報告書は、Next G Allianceのメンバー企業（Apple、AT&T、Keysight、Nokia、Qualcommなど）による共同研究の成果であり、その測定と分析の結果は、3GPP（第3世代パートナーシップ・プロジェクト）のRelease 19以降の標準化活動に提出されています。¹⁰

6Gシステムの設計と評価の土台となる統一的なチャネルモデルを確立するための、不可欠な経験的基盤を提供する、非常に重要な資料です。