SIGLENT (シグレント)SDS7000A シリーズ デジタル・オシロスコープ

「Phase Coherency and Alignment」(位相コヒーレンシーとアライメント)は、複数の信号やシステム間で位相がどのように関連し、同期しているかを表す重要な概念です。

特に、ご提示いただいた「4chコヒーレント信号発生器」のような、多チャネルで高度な制御を行うシステムにおいて核となる考え方です。


 

🔑 Phase Coherency and Alignment の定義

 

この概念は、以下の二つの要素に分けて考えると分かりやすいです。

 

1. Phase Coherency(位相コヒーレンシー / 位相の可干渉性)

 

  • 意味: 複数の信号またはある単一の信号の異なる時間点において、位相の間の関係が一定に保たれていること。

  • 物理的特徴:

    • 低ノイズ: 信号の位相が時間とともにランダムに揺らぐこと(位相ノイズやジッタ)が非常に少ない状態です。

    • 相関性: 複数のチャネル間で信号が共通の起源(リファレンスクロック)を持ち、信号間に固定された、または既知の位相差がある状態を指します。

  • 重要性: 量子コンピュータ制御やレーダー、MIMO通信など、複数の信号の干渉を利用したり、信号の到来方向を精密に測定したりする際に、計測の精度と再現性を保証するために不可欠です。

 

2. Phase Alignment(位相アライメント / 位相の同期・整合)

 

  • 意味: 複数の信号間で、位相が意図した通りに正確に一致している、または設計された相対的な位相差に調整されている状態。

  • 技術的意味:

    • 初期位相の調整: 複数のチャネルの信号が同時に開始される際に、すべてのチャネルの初期位相を  に揃えたり、あるいは意図的に 90°180° といったオフセットを設定したりする操作を指します。

    • 経路補償: ケーブル長やシステム内の遅延によって生じる位相のずれを測定し、それを電気的に補償(アライメント)するプロセスです。

  • 重要性:

    • ビームフォーミング: レーダーで特定の方向に電力を集中させる(ビームを形成する)には、アンテナ素子に供給する信号の位相を正確にアライメントする必要があります。

    • 量子ゲート操作: 量子ビット制御において、パルスの位相を正確にアライメントすることで、意図した通りの量子状態の回転操作を実現します。


 

まとめ

 

概念 意味するもの 4chコヒーレント信号発生器での役割
コヒーレンシー 位相関係の安定性・一貫性 信号の品質を保証し、低ノイズで再現性のある実験環境を提供します。
アライメント 位相関係の正確な調整・同期 意図した制御(ビームの形成、量子ビットの回転軸決定など)を可能にします。

要するに、コヒーレンシーは「信号が安定して連携できる土台」であり、アライメントは「その土台の上で、設計通りに位相を一致・調整する技術」です。

 

 

 

 

SSG6M80Aシリーズ
マルチチャネル・コヒーレント・マイクロ波信号発生器
主な特長
・最大周波数 13.6 GHz/20 GHz
・出力周波数分解能 最大0.001 Hz
・位相ノイズ < -136 dBc/Hz @ 1 GHz、オフセット 10 kHz(測定値)
・コヒーレントモード、搬送周波数 = 10 GHz、周囲温度変動 ±2℃、観測時間 5時間、位相変動 < 1.5°
・チャンネル間の周波数、振幅、位相を個別に調整可能。単一デバイスチャンネル同期および複数デバイスチャンネル位相同期をサポート。位相メモリ機能搭載
・アナログ変調、パルス変調(オプション)

・Coming soon

 

 

SSA6000A Series Signal Analyzer

Main Features
・Measurement Frequency Range: 2 Hz ~ 50 GHz
・IQ Analysis Bandwidth: 1.2 GHz
・Real-time Spectrum Analysis Bandwidth: 400 MHz
・Phase Noise: -123 dBc/Hz @ 1 GHz, 10 kHz offset
・DANL: Less than -165 dBm/Hz
・Demodulation and analysis of signals from multiple mobile communication standards including 5G NR, LTE/LTE-A, WLAN, and IoT, as well as wireless connections.

・Coming soon

 

SNA6000A Series Vector Network Analyzer

Key Features
・Frequency Range: 100 kHz ~ 50 GHz
・Dynamic Range: 135 dB
・IF Bandwidth Range: 1 Hz ~ 10 MHz
・Output Power Setting Range: -60 dBm ~ +20 dBm
・Supports 4-port (2-source) S-parameter measurements, differential (balanced) measurements, time-domain analysis, scalar mixer measurements, etc.
・Optional accessories include electronic calibration kits, switch matrix, and mechanical switches.
・Coming soon

 

 

 

 

 

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