蓄電池の仮想発電所(VPP: Virtual Power Plant)について
蓄電池を活用したVPPは、家庭やビル、工場などに分散して設置されている蓄電池や太陽光発電設備、EV(電気自動車)などの分散型エネルギーリソース(DER: Distributed Energy Resources)を、IoTなどの情報技術(IT)で束ね、遠隔から統合的に制御することで、あたかも一つの大きな発電所のように機能させる仕組みです。
💡 蓄電池VPPの仕組みと役割
VPPの中核的な役割を担うのがアグリゲーターと呼ばれる事業者です。
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アグリゲーション(集約): アグリゲーターが、多数の需要家(企業や一般家庭など)が持つ蓄電池などのDERをネットワークでつなぎ、まとめて管理・制御できるようにします。
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需給調整: 電力系統全体で電力の需要と供給のバランスが崩れそうになった際、アグリゲーターが電力会社(送配電事業者など)からの要請を受け、需要家側の蓄電池に対して充放電を遠隔制御します。
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電力が不足しそうな時(下げDR): 蓄電池から系統へ放電(供給)したり、需要家に使用抑制(節電)を促したりします。これにより、電力不足を回避し、周波数の安定化に貢献します。
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電力が余剰になりそうな時(上げDR): 蓄電池に充電を促したり、需要家に使用を促したりします。これにより、再生可能エネルギーの発電した電力を無駄なく活用し、出力制御の回避に貢献します。
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このように、蓄電池は「発電」機能だけでなく「蓄電」機能を通じて、不安定になりがちな再生可能エネルギーの普及を後押しし、電力の需給バランスを柔軟に保つための調整力として重要な役割を果たします。
✅ メリットと課題
| 項目 | メリット | 課題(懸念点) |
| 電力系統 | * 再生可能エネルギー(太陽光、風力など)の最大限の活用と普及拡大を後押しできる。 | * ICT/IoT、AIによる自動制御システムの導入コストがかかる。 |
| コスト | * 従来の大規模発電所に比べ、低コストで電力需給の調整ができる。 | * 初期導入コスト(蓄電池、システムなど)が高額になる傾向がある。 |
| 需要家 | * VPPへの参加やデマンドレスポンス(DR)協力により**報酬(インセンティブ)**が得られる。 | * 制度・ルールがまだ整備途上の部分がある。 |
| 防災 | * 分散型設備のため、災害時の停電時にも電力供給を維持しやすい(レジリエンス強化)。 | * サイバー攻撃などセキュリティ面での対策が必要。 |
より詳しくVPPの仕組みをご覧になりたい場合は、こちらの動画をご参照ください。
バーチャルパワープラント - YouTube
この動画では、VPPの概要や意義について分かりやすく説明されており、蓄電池が関わる仮想発電所の全体像を理解するのに役立ちます。
| https://www.youtube.com/watch?v=Ti6Oqve6q4Y |
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