「Q/V帯 ダイレクトディジタルRF送受信アンテナ・モジュール」は、次世代の衛星通信、特に低軌道(LEO)衛星コンステレーションを実現するための基幹技術であり、以下の3つの主要技術を高度に融合させたシステムです。
1. 概要と特徴
このモジュールは、Q帯(送信:約40GHz)とV帯(受信:約50GHz)のミリ波周波数帯を使用し、信号の送受信処理をデジタル領域で行うダイレクトディジタルRF技術と、電波の向きを制御する**デジタルビームフォーミング(DBF)**技術を統合したものです。
これにより、従来の衛星通信システムに比べ、超小型化、軽量化、低消費電力化を実現しつつ、超高速・大容量通信と柔軟なマルチビーム制御を可能にします。
2. 構成技術
📡 Q/V帯(ミリ波帯)の採用
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周波数帯: Q帯(約40GHz)、V帯(約50GHz)は、Ku帯やKa帯が混雑しつつある中で、次世代の衛星通信用に開拓が進められている新しい周波数帯です。
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課題と必要性: このミリ波帯では、アンテナ素子間の間隔が5mm以下と非常に狭くなるため、周辺の送受信モジュールには極めて高い集積化が求められます。
💻 デジタルビームフォーミング(DBF)
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機能: 多数のアンテナ素子を配列し、それぞれの素子から出る信号の位相や振幅をデジタル信号処理で精密に制御します。
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利点:
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ビームの方向を柔軟かつ機動的に制御できます(電子的なビーム走査)。
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複数のユーザーや地域に対して、**同時に複数のビーム(マルチビーム)**を形成できます。
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超高速・大容量通信を可能にします。
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⚙️ ダイレクトディジタルRF送受信機 (Direct Digital RF)
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役割: ミリ波帯での高集積化の課題を解決するために採用される技術です。アンテナ素子直下で、**RF(高周波)信号を直接デジタル信号に変換(またはその逆)**する構成を取ります。
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実現: 従来の方式(アナログ回路を多用)に比べ、RF部の回路を大幅に小型化し、チップ上に集積することを可能にします。これにより、Q/V帯の狭ピッチなアンテナ配列にモジュールを組み込むことが可能となります。
3. 主な用途と研究開発
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用途:
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低軌道(LEO)衛星コンステレーションへの搭載用アンテナ。日本独自のセキュアでレジリエントな宇宙通信インフラの構築に寄与します。
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宇宙空間での大容量通信、地上の6G以降の超高速ワイヤレス通信技術への応用も期待されています。
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研究開発事例:
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東北大学(末松憲治教授、塚本悟司特任教授、古市朋之准教授ら)と三菱電機などの産学連携により、世界に先駆けてこのQ/V帯ダイレクトディジタルRF送受信機と、それを用いたDBFアレーアンテナの試作が成功し、基本動作が確認されています。
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試作されたモジュールは、400MS/s(シンボルレート)、64QAM変調において、良好な性能(例:送信40GHzでEVM 1.4%)を達成しています。
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