SIGLENT(シグレント) ベクトル・ネットワーク・アナライザ SNA6000Aシリーズ

伝搬制御を目的とした反射型RIS(Reconfigurable Intelligent Surface)の制御方式は、主に電波の位相(Phase)をどのように調整し、反射ビームを目的の方向へ向けるかという点に焦点を当てています。

RISは、何百、何千という多数の受動的な素子(セル)から構成されており、これらの素子一つひとつが信号を増幅する代わりに、入射波の位相を独立して変化させて反射します。この「位相シフト」を決定する方法が制御方式となります。

主な制御方式は、大きく分けて集中型分散型の2つに分類されます。


 

1. 集中型制御方式 (Centralized Control) 🧠

 

この方式では、RIS自体は知的な処理を行わず、基地局(BS)やアクセスポイント(AP)が全ての情報を収集・計算し、その結果をRISに指示します。

  • 特徴:

    • 制御元: 基地局(BS)/アクセスポイント(AP)。

    • 情報源: CSI (Channel State Information: チャネル状態情報)。基地局とRIS間、RISとユーザー端末(UE)間の全てのチャネル情報を正確に取得する必要があります。

    • 目的: 信号を最大化するために、基地局→RIS→UEの全経路の位相誤差をキャンセルするように、RISの全素子の位相シフト量を一括で決定します。

    • 利点: 最適性能(最高のビームフォーミング利得)を実現できます。

    • 課題: 膨大なオーバーヘッド。全チャネル情報の取得(CSI推定)には、大規模なRIS素子数と多数のユーザー数に比例して非常に多くの時間と信号処理が必要となり、特にTDD(時分割複信)システムで大きな課題となります。


 

2. 分散型制御方式 (Distributed Control) 💡

 

この方式では、RISは限定的な情報を利用するか、あるいは**自己学習(Self-Learning)**により、基地局からの詳細なCSIに頼らずに位相シフトを決定します。

 

A. 準静的な制御(Pre-defined/Limited Feedback)

 

  • 制御元: 基地局またはRIS内蔵の簡易コントローラー。

  • 手法: **方向情報(AoA/AoD)**など、限られた情報に基づいて、あらかじめ定義されたビームパターンを選択します。

  • 例: 基地局とユーザーの位置が大きく変わらない環境(静的な環境)では、最適な位相パターンを事前に計算しておき、そのパターンを切り替えて利用します。

 

B. ブラインド(Blinded)制御 / 探索(Search)ベース

 

  • 制御元: 基地局(フィードバックを利用)。

  • 手法: 基地局は最適な位相シフトパターンが分からない状態で、RISの位相をランダムまたは系統的に変化させます。ユーザー端末からの信号強度フィードバックに基づき、最も良い性能を示すパターンを探し出します。

  • 利点: CSI推定のオーバーヘッドを避けることができます。

  • 課題: 収束が遅い可能性があり、チャネルが高速に変動する環境には不向きです。

 

C. 機械学習/強化学習ベース

 

  • 制御元: RISに搭載されたインテリジェンス(コントローラー)。

  • 手法: RISは、過去の通信環境やフィードバック情報を基に、**強化学習(Reinforcement Learning: RL)**などの手法を用いて、最適な位相シフトパターンを自律的に学習します。

  • 利点: 複雑な環境や変動する環境でも、CSI推定なしで準最適な性能を達成するインテリジェントな適応が期待されます。

  • 課題: 学習フェーズに時間がかかり、RISのコントローラーに高い計算能力が求められます。


 

🔑 制御方式の選択のポイント

 

実用的なRISの制御方式は、集中型と分散型の中間的なアプローチが主流になると予測されています。

考慮要素 傾向
通信速度 集中型(正確なビームで最大速度を出す)
オーバーヘッド 分散型(CSI推定の負荷を減らす)
環境 機械学習ベース(複雑・動的な環境に強い)
消費電力 準静的/ブラインドベース(RISの素子駆動電力を抑える)

今後の研究開発では、低オーバーヘッドで、かつ準最適な性能を迅速に達成できる分散型/ハイブリッド型の制御方式が重要視されています。

 

 

 

 

 

 

PR:

SSG6M80Aシリーズ
マルチチャネル・コヒーレント・マイクロ波信号発生器
主な特長
・最大周波数 13.6 GHz/20 GHz
・出力周波数分解能 最大0.001 Hz
・位相ノイズ < -136 dBc/Hz @ 1 GHz、オフセット 10 kHz(測定値)
・コヒーレントモード、搬送周波数 = 10 GHz、周囲温度変動 ±2℃、観測時間 5時間、位相変動 < 1.5°
・チャンネル間の周波数、振幅、位相を個別に調整可能。単一デバイスチャンネル同期および複数デバイスチャンネル位相同期をサポート。位相メモリ機能搭載
・アナログ変調、パルス変調(オプション)

・Coming soon

 

 

SSA6000A Series Signal Analyzer

Main Features
・Measurement Frequency Range: 2 Hz ~ 50 GHz
・IQ Analysis Bandwidth: 1.2 GHz
・Real-time Spectrum Analysis Bandwidth: 400 MHz
・Phase Noise: -123 dBc/Hz @ 1 GHz, 10 kHz offset
・DANL: Less than -165 dBm/Hz
・Demodulation and analysis of signals from multiple mobile communication standards including 5G NR, LTE/LTE-A, WLAN, and IoT, as well as wireless connections.

・Coming soon

 

SNA6000A Series Vector Network Analyzer

Key Features
・Frequency Range: 100 kHz ~ 50 GHz
・Dynamic Range: 135 dB
・IF Bandwidth Range: 1 Hz ~ 10 MHz
・Output Power Setting Range: -60 dBm ~ +20 dBm
・Supports 4-port (2-source) S-parameter measurements, differential (balanced) measurements, time-domain analysis, scalar mixer measurements, etc.
・Optional accessories include electronic calibration kits, switch matrix, and mechanical switches.
・Coming soon

 

SDS8000Aシリーズ オシロスコープ

特長と利点
4チャンネル + 外部トリガーチャンネル
アナログチャンネル帯域幅:最大16GHz(8/13/16GHz)
リアルタイムサンプリングレート:最大40GSa/s(全チャンネル同時)
12ビットADC
低ノイズフロア:16GHz帯域幅で176μVrms
SPOテクノロジー
・ 波形キャプチャレート:最大200,000フレーム/秒
・ 256段階の波形輝度と色温度表示をサポート
・ 最大2Gポイント/チャンネルのストレージ容量
・ デジタルトリガー

・Coming soon

 

 

 

SIGLENT お買い得キャンペンーン実施中(~2026/03/31まで)
https://tm-co.co.jp/siglent-campaign/

SSA3000X-R シリーズ リアルタイム・スペクトラム・アナライザ
・周波数レンジ: 9kHz to 3.2/5.0/7.5GHz
VNAモード:S11,S21同時測定
・リアルタイム帯域:25MHz(std.),40MHz(opt.)
価格:82万円~
・今ならEMIオプションなどが無料!
 SSA3000XR -EMI ¥170,000
 -EMI測定キット

 (EMIフィルタ、準尖頭値検波器、EMI測定モード)

 

姉妹機も実施中(EMI測定機能は同じです)
※SSA3000X-Plus(スペアナ+TG) 22万円~
※SVA1000X (スペアナ+VNA)26万円~