LTCC(Low-Temperature Co-fired Ceramics:低温同時焼成セラミックス)を用いたミリ波通信用受動回路の研究は、5G/6Gのような高速・大容量通信の実現において非常に重要です。
LTCC技術は、ミリ波帯(数10 GHz〜100 GHz)で必要とされる高性能、高集積、低損失な受動回路を、比較的安価かつ小型に実現するための基板技術として広く注目されています。
🏗️ LTCCの概要と特徴
LTCCは、ガラスとセラミックの混合粉末をシート状にし、そこに導体ペーストで回路パターンを形成した後、複数枚を積層し、1000°C以下の低温で同時焼成して作製される多層基板です。
1. ミリ波帯での利点
-
低損失: セラミックス材料は、誘電損失が非常に小さいため、ミリ波帯のような高周波領域でも信号の減衰(損失)を抑えられます。
-
高Q(Quality Factor)値: 損失が低いため、コイルやキャパシタなどの受動素子が高Q値となり、回路性能が向上します。
-
高精度・高安定性: 寸法精度が高く、温度や湿度の変化に対する特性変動が少ないため、ミリ波の波長精度が要求される回路に適しています。
2. 高集積化への貢献
-
多層構造: 最大数十層にわたる多層配線が可能なため、受動素子(インダクタ、キャパシタ、フィルタなど)を基板内部に埋め込むことができます。
-
小型化: 内部に素子を埋め込むことで、表面実装部品の数を減らし、回路の大幅な小型化(高密度化)とモジュール化が実現します。
-
寄生効果の低減: 信号線とGND(グランド)を多層で配置することで、ミリ波帯で問題となる配線の寄生効果や電磁結合を効果的に制御できます。
🔗 LTCCを用いたミリ波受動回路の具体例
LTCC技術は、ミリ波通信モジュール(例えばフェーズドアレイアンテナモジュール)において、特に以下の受動部品や回路の高性能化に貢献します。
| 部品名 | LTCCを用いる理由と効果 |
| フィルタ | 低損失で高Qな共振器を基板内部に実現でき、周波数選択特性をシャープにできる。 |
| カプラ / 分配器 | 高精度な多層配線により、信号の電力分配や合成を低損失で正確に行える。 |
| アンテナ | アンテナ素子を内部に組み込むことができ、アンテナアレイの給電回路と一体化し、低損失な接続を実現できる。 |
| インダクタ / キャパシタ | 高精度な積層構造により、必要なインダクタンスやキャパシタンスを回路内部に正確に形成できる。 |
LTCC基板上に高周波IC(MMICなど)を直接実装することで、アンテナから送受信ICまでの**全ての回路を一つの小型モジュール(SiP: System in Package)**として構成することが可能になり、ミリ波通信システムの普及を支える重要な技術となっています。
PR:
![]() |
SSG6M80Aシリーズ ・Coming soon
|
![]() |
![]() |
![]() |
SSA6000A Series Signal Analyzer Main Features ・Coming soon
|
![]() |
SNA6000A Series Vector Network Analyzer Key Features
|
![]() |
SDS8000Aシリーズ オシロスコープ 特長と利点 ・Coming soon |
![]() |
SIGLENT お買い得キャンペンーン実施中(~2026/03/31まで) SSA3000X-R シリーズ リアルタイム・スペクトラム・アナライザ (EMIフィルタ、準尖頭値検波器、EMI測定モード)
姉妹機も実施中(EMI測定機能は同じです) |











