芝浦工業大学の田中 愼一(たなか しんいち)教授は、主に高周波通信デバイスと無線回路技術を専門とされています。
🔬 主な専門分野・研究テーマ
田中教授が所属されている高周波通信デバイス研究室での主な研究分野とキーワードは以下の通りです。
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高周波・無線回路技術:
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マイクロ波高出力増幅器: 特に、携帯端末や無線通信機向けの高効率な無線通信回路(電力増幅器など)に関する研究。
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メタマテリアル回路技術: 自然界に存在しない人工電磁波を作り出す左手系メタマテリアル回路を用いて、無線回路の超小型化や高効率化を実現する研究。
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無線電力伝送 (WPT):
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無線電力伝送の実現に不可欠な**高効率整流回路(Rectifier)**の研究。電磁波エネルギーを効率よく電気エネルギーに変換する技術(エネルギーハーベスティング)を含みます。
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デバイス・材料:
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化合物半導体デバイスの応用。
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田中教授の研究は、スマートフォンのバッテリー消費を抑える無線通信回路や、ワイヤレス給電の基盤技術など、次世代ワイヤレス社会を支える技術開発に貢献されています。
田中教授が研究されているメタマテリアル回路や無線電力伝送について:
田中慎一教授の研究テーマでもある「メタマテリアル回路」と「無線電力伝送(WPT)」について解説します。
🔬 メタマテリアル回路(Metamaterial Circuits)
概要
メタマテリアルとは、自然界には存在しない特殊な電磁気的特性(例えば負の屈折率)を実現するために、人工的に設計・作製された微細構造の複合物質のことです。
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「Meta(超越した)」+「Material(物質)」という意味で、電磁波の波長よりもはるかに小さな単位構造(メタ原子)を周期的に並べることで、その集合体としてユニークな振る舞いをします。
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**「物質の回路化」**とも呼ばれ、誘電率や透磁率といった物質の応答特性を、構造設計によって自由に制御できます。
応用としての「メタマテリアル回路」
メタマテリアルの概念を、高周波回路やマイクロ波回路に応用したものがメタマテリアル回路です。
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主な応用:
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回路の超小型化: 負の屈折率などの特性を利用して、アンテナやフィルターなどの回路部品を従来の技術よりも大幅に小型化できます。
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高性能化: 位相定数(電磁波の進む速度に関わる指標)を自在に設計できる特性から、漏れ波アンテナなどの高性能な無線回路への応用が進んでいます。
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⚡ 無線電力伝送(WPT: Wireless Power Transfer)
概要
無線電力伝送とは、物理的な電線を使わずに、空間を隔てて電力を送る技術です。主に距離や用途に応じて複数の方式が使い分けられています。
主要な伝送方式
| 方式 | 原理 | 特徴 | 主な用途 |
| 電磁誘導方式 | 2つのコイル間の電磁誘導を利用(近接場) | 送電距離は短い(数mm〜数cm)。高効率で、構造が単純。 | スマートフォン(Qi規格)、電動歯ブラシ、IH調理器。 |
| 磁界共鳴方式 | 送電側と受電側のコイルを共振させ、エネルギーを伝達(近接場) | 比較的長距離(数十cm〜数m)伝送が可能。位置ズレに強い。 | 電気自動車の非接触充電、ロボットの自動充電。 |
| 電磁波方式 | 電力をマイクロ波やレーザーに変換して送る(遠方場) | 遠距離伝送が可能。指向性制御が重要。 | 宇宙太陽光発電(構想)、ドローンへの給電。 |
🤝 メタマテリアルと無線電力伝送の連携
田中教授の研究をはじめ、メタマテリアル技術は、無線電力伝送の効率と利便性を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。
1. 伝送効率の向上
WPTにおいて最も重要な課題の一つが、送電側から受信側への電力伝送効率です。
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メタサーフェス/磁場制御:
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メタサーフェス(2次元のメタマテリアル)を伝送路の周囲に配置することで、磁界共鳴方式で発生する磁場を必要な方向に集中させたり、損失を低減させたりできます。これにより、送電効率が向上し、エネルギーロスが低減します。
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2. 位置自由度の向上
従来のWPT、特に電磁誘導方式は、送電コイルと受電コイルの位置が少しでもずれると効率が大きく低下します(ミスアラインメント問題)。
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広範囲・自由度向上:
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メタマテリアルの構造を活用し、テーブル全体や特定エリアに均一な磁場を形成することで、受電デバイスをどこに置いても効率よく充電できる**「どこでも充電」**の実現が期待されています。
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田中教授は、これらの技術を駆使して、小型化・高効率化された次世代の無線通信デバイスや、電源ケーブルから解放されたワイヤレス社会の実現に貢献されています。
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