多段のアンプの場合「初期段のNFノイズ対策が十分でないアンプ」は、全体の雑音指数 (NF: Noise Figure) が大きく劣化し、結果として受信感度が著しく低下します。
これは、フリース (Friis) の雑音の式によって理論的に裏付けられています。
📉 フリース (Friis) の雑音の式による説明
多段接続されたシステムの全体の雑音指数 Ftotal は、各段の雑音指数 Fn と、それ以前の段の電力利得 Gn を用いて以下の式で表されます。
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ここで、
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F1: 初段の雑音指数
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G1: 初段の電力利得
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F2, F3,...: 第2段、第3段、... の雑音指数
この式から、以下の重要な事実がわかります。
1. 初段のNFの影響が圧倒的に大きい
全体のNFを決定するのは、初段の雑音指数 $F_1$ です。
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初段のNF (F1) は、分母がないため、後段からの影響を受けずに全体のNFに直接加算されます。
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もし初段のNFが高ければ(雑音対策が不十分であれば)、その高いNFがそのまま全体のNFを押し上げてしまい、後段でどれだけ対策をしても挽回は非常に困難です。
2. 初段の利得 (G1) による支配
第2段以降のNFの寄与は、初段の利得 G1 によって大きく減衰されます。
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初段の利得 G1 が大きければ、第2段の項(F2 - 1)/G1 は非常に小さくなり、全体のNFへの影響が無視できるほどになります。
つまり、理想的なレシーバ設計では、
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初段にNFが極めて低い素子(LNA: Low Noise Amplifier)を使用する。
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初段で十分な利得 G1 を確保する。
これにより、全体の雑音指数が初段のNF F1 とほぼ等しくなり、最適な受信感度が得られます。
⚠️ 初段のノイズ対策が不十分な場合の具体的な問題
初期段のノイズ対策が十分でない場合、以下のような問題が発生します。
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受信感度の低下: NFが高い(雑音が多い)ということは、受信できる最小信号レベルが上がってしまうため、微弱な信号を受信できなくなります。
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SNR (信号対雑音比) の悪化: 信号と同時にノイズも大きくなるため、復調(デコード)に必要な信号品質が満たせなくなり、エラーレートが増大します。
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広帯域ノイズの増幅: 初段のノイズが後段で増幅され、システム全体のノイズフロアが上昇します。
レシーバ設計においては、フリース (Friis) の式の教える通り、初期段(特にLNA)のNFを最小化することが最も重要であり、初期段階で妥協するとシステムの性能全体が致命的に損なわれます。
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Noisecom NC346シリーズ NC346A/346B 、HP/Agilent/Keysight 346A/346B等のノイズソースをお持ちの場合使用可能です。 |
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Ceyear Noise source・16613DA Noise source ¥386,000 excess noise ratio ENR: 5dB~8dB, drive interface: standard BNC. excess noise ratio END: 14dB~17dB, drive interface: standard BNC. |
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