MgO-based MTJ(以下、MTJ)を核としたエッジAIチップは、2026年現在、「研究開発」から「実働プロトタイプ・特定用途での製品化」のフェーズへと大きく進展しています。

特に、東北大学や産総研などの国内拠点が、世界をリードする成果を次々と発表しており、単なるメモリとしてではなく「演算デバイス」としての実用化が加速しています。


1. 2026年現在の最新製品・開発状況

最新の動向として、以下の3つの主要な進展が挙げられます。

① 東北大学による「エッジAI向け実証チップ」の成功(2025年7月発表)

2025年7月、東北大学を中心としたチームは、スピントロニクス技術(MRAM/MTJ)を活用したエッジAI向け実証チップの開発に成功したと発表しました。

  • 内容: 大容量のMRAMを混載したAI処理専用チップで、設計ツールを高度化することで、これまでのAIチップよりも劇的に低い消費電力での推論処理を実証しました。

  • 意義: これにより、複雑なAIモデルを電力制限の厳しい小型デバイス上で動かすための「自動設計環境」が整い、民間企業による製品化のハードルが大きく下がりました。

② 大手ファウンドリによる「eMRAM」の標準化

TSMCやサムスンなどの世界的半導体メーカーが、22nmから12nm、さらには最新の2nmプロセスにおいて、**eMRAM(埋め込み型MRAM)**をオプションとして提供し始めています。

  • 現状: 2026年現在、自動車の自動運転用プロセッサや、産業ロボットの制御チップにおいて、従来のフラッシュメモリに代わってMTJベースのメモリが標準的に採用されつつあります。

③ スタートアップによる「脳型AIチップ」のサンプル出荷

Spin-IonSemron といったスタートアップ企業が、MTJの特性を活かした「アナログ演算チップ(メモリスタ)」のサンプル出荷を開始しています。これらは、従来のデジタル計算(0か1か)ではなく、MTJの抵抗値を多値で制御することで、脳のシナプスに近い動きを再現し、1W以下の低電力で高度な画像認識などを行います。


2. 具体的な製品化のターゲット(ユースケース)

現在、以下の分野でMTJベースのAIチップが先行して導入されています。

分野 具体的な用途 なぜMTJなのか?
自動運転 / ADAS リアルタイムの歩行者検知、障害物回避。 高速・低遅延。事故に直結する判断を瞬時に行うため。
ウェアラブル / ヘルスケア スマートウォッチでの心電図解析、異常検知。 超低電力。バッテリーを長持ちさせつつ、「常時監視(Always-on)」が可能。
産業用IoT / 予兆保全 工場設備の振動解析による故障予知。 高い信頼性(耐熱・耐放射線)。過酷な工場環境でもデータが壊れない。
AIスマートフォン オンデバイスでの翻訳、画像加工。 省スペース。従来のSRAMより高密度に配置できるため。

3. 今後の課題と展望

製品化は進んでいますが、まだすべてのチップがMTJに置き換わっているわけではありません。

  • 課題: 製造コストが従来のCMOSプロセスよりまだ高価であること。また、多数のMTJを均一に製造するための「歩留まり(良品率)」の向上が2026年現在の製造現場での主戦場となっています。

  • 展望: 2026年末から2027年にかけて、「LLM(大規模言語モデル)の軽量版」をエッジデバイスで動かす専用チップにMTJが組み込まれることが期待されています。


 

 

出典:Google Gemini

 

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