概要

制御系の安定性評価では、時間応答だけでなく
周波数領域におけるゲイン特性と位相特性を把握することが不可欠です。

SDS7000A は、**内蔵 AWG(波形発生器)**と Bode Plot 測定機能を組み合わせることで、
外部信号発生器やネットワークアナライザを使用せずに
制御系の周波数応答を評価できます。

本記事では、評価の考え方を中心に、実務で使える測定フローを整理します。


制御系評価における基本的な考え方

制御系は入力信号に対して、

  • どの周波数帯域まで追従できるか

  • 位相遅れがどの程度発生するか

によって安定性が決まります。

特に重要なのは、

  • ゲイン余裕

  • 位相余裕

を把握し、
発振や過渡振動のリスクを事前に評価することです。


測定構成の基本

SDS7000A を用いた基本構成は以下のとおりです。

  • 内蔵 AWG:制御系への入力信号

  • CH1:入力信号観測

  • CH2:出力信号観測

この構成により、
入力と出力の振幅比および位相差を同時に取得できます。

 

AWG 設定の実務ポイント

制御系評価において AWG 設定で重要なのは以下です。

  • 波形:正弦波

  • 振幅:制御系を非線形領域に入れない最小レベル

  • 周波数:低周波から高周波へ段階的に掃引

振幅を大きくしすぎると、
本来の制御特性ではなく 飽和後の挙動を測定してしまうため注意が必要です。

 

Bode Plot 測定の流れ

Bode Plot 測定では、以下の流れで評価を行います。

  1. AWG を有効化し、掃引条件を設定

  2. 入力チャンネルと出力チャンネルを指定

  3. 測定帯域を制御系に合わせて設定

  4. ゲイン特性と位相特性を同時に取得

測定中は、
制御系が安定状態を維持していることを必ず確認します。

 

 

実測時の注意点

  • 配線長は位相遅れに直接影響する

  • ノイズが多い場合は平均化を併用する

  • 不要に広い周波数範囲を設定しない

理論値と実測値の差は、
実装・負荷条件・測定系の影響を含んだ結果であることを理解する必要があります。



SDS7000A は 自動 Bode プロット機能をサポートしています。
この機能により、被測定デバイス(DUT)の周波数応答曲線を取得でき、あわせて掃引出力パラメータの制御およびデータ表示設定を行うためのインターフェースが提供されます。

本機能では、**内蔵波形発生器(AWG)**または SIGLENT SDG シリーズの任意波形発生器を使用することができます。
掃引中、オシロスコープは発生器の出力周波数および振幅を自動的に制御し、DUT の入力信号と出力信号を比較します。

各周波数ポイントにおいて、ゲイン(G)および位相(P)が測定され、周波数応答の Bode プロットとして表示されます。
ループ応答解析が完了すると、チャート上のマーカーを移動することで、各周波数点におけるゲイン値および位相値を確認できます。
また、振幅および位相プロットのスケールやオフセットを調整することも可能です。

 

 

Bode プロットダイアログの呼び出し

以下のメニューをクリックすると、Bode プロットのダイアログボックスが表示されます。

 

Bode プロットダイアログ各項目

 

  A. Bode プロットの ON/OFF
B. Bode プロットの設定
 (DUT、AWG 接続、掃引パラメータ)
C. 測定動作の開始/停止
D. 表示設定
 (座標軸、トレース表示/非表示、カーソル)
E. データリスト
 Bode プロットのカーブデータを表示し、U ディスクへの保存や読み込みが可能
F. 測定パラメータ設定
 掃引カーブに対する測定項目:
 上限カットオフ周波数(UF)、下限カットオフ周波数(LF)、
 帯域幅(BW)、ゲインマージン(GM)、位相マージン(PM)
G. 指定した Bode プロット領域をストレージへ即時保存

 

 

 

設定(Configuration)

31.2.1 接続(Connection)

 


A. DUT の入力/出力チャンネル

B. チャンネルゲイン設定
 Auto に設定すると、信号振幅に応じて垂直スケールが自動調整されます。
 Hold に設定すると、測定前の垂直スケールを保持します。
C. 任意波形発生器(AWG)の接続設定
 Interface をクリックして接続方式を選択します。
 LAN を選択した場合は IP アドレスを設定して保存し、
 Test をクリックして発生器との接続状態を確認します。

 

掃引設定(Sweep)

Sweep Type をクリックして、掃引方式を選択します。
掃引方式には SimpleVariable Level の 2 種類があります。

Simple 掃引

 

A. 掃引タイプ設定
B. 掃引モード(Continue/Single)
C. 掃引周波数設定
 Linear の場合:中心周波数およびスパン周波数を設定
 Logarithmic の場合:開始周波数および終了周波数を設定
D. 掃引ポイント数設定
 ポイント数が多いほど分解能が向上
E. 掃引信号の振幅設定
F. 掃引信号のオフセット設定
G. 信号振幅単位設定
 dB 設定時は基準レベルおよび負荷の設定が必要
H. 負荷設定
   

 

Variable Level 掃引

 

A. 掃引タイプを Vari-Level に設定
B. プロファイル選択(最大 4 プロファイル)
C. 周波数モード設定
D. 掃引ポイント数設定
E. 掃引信号のオフセット設定
F. 信号振幅単位設定
G. 掃引モード(Continue/Single)
H. 可変レベル信号表示エリア
I. Edit をクリックしてプロファイルエディタを起動
   

 

Nodes をクリックしてマウスホイールでノード数を設定するか、▲ で増加、▼ で減少させます。

 

テーブル内のセルをクリックして該当ノードの周波数および振幅を設定します。
セルを有効化した状態でマウスホイールを使用するか、
再度クリックして仮想キーパッドを表示し数値入力します。

 

 

 

表示設定(Display)

Bode プロットの表示設定には、振幅、位相、カーソル、トレース表示があります。


振幅(Amplitude)

 

  A. 基準位置設定(中央/上)
B. 振幅軸スケール設定
C. 基準レベル設定(振幅軸の最大値)
D. 振幅モード設定
 Vout:出力信号の振幅表示
 Vout/Vin:出力/入力の振幅比表示
E. 単位設定
 Vout モード:Vpp、Vrms、dBV、dBu、dBm、任意 dB
 Vout/Vin モード:Linear または Logarithmic
F. Auto-Set
 信号に応じてスケールと基準レベルを自動設定
G. 前のメニューに戻る

 

 

 

位相(Phase)

 

  A. 基準位置設定(中央/上)
B. 位相軸スケール設定
C. 基準レベル設定
D. 位相単位設定(Degree/Rad)
E. Auto-Set
 位相カーブに応じてスケールと基準レベルを自動設定
F. 前のメニューに戻る

 

 

 

カーソル(Cursors)

 

  A. カーソル ON/OFF
B. カーソルタイプ設定(X/Y)
C. カーソル位置指定
D. ソース 1 設定
E. ソース 2 設定
F. 前のメニューに戻る

 

 

トレース表示(Trace Visibility)

複数の出力信号が接続されている場合、
Bode プロット画面にはすべての振幅・位相カーブが同時に表示されます。
Trace Visibility を使用することで、特定のカーブのみを表示/非表示に切り替えることができます。

 

 

データ解析(Data Analysis)


データリスト、カーソル測定、自動測定機能を使用して、
Bode プロットカーブを詳細に解析できます。

自動測定機能では、以下の 5 つのパラメータを測定できます。

  • 上限カットオフ周波数(UF)

  • 下限カットオフ周波数(LF)

  • 帯域幅(BW)

  • ゲインマージン(GM)

  • 位相マージン(PM)

 

 

データリスト(Data List)

  A. データリスト ON/OFF
B. 選択行設定
 マウスホイールまたはリスト直接選択
C. データソース設定
D. データ保存/呼び出し
 Bode プロットデータ(*.csv)の保存/読み込み
E. 前のメニューに戻る
 
 
 
 
 
測定(Measure)
 
A. 測定項目の表示位置設定(最大 5 項目)
B. 測定ソース設定
C. 測定パラメータ設定エリア
D. すべての測定をクリア
E. 現在の測定をクリア
F. 測定設定ウィンドウを閉じる
   
 
 

 

まとめ

  • AWG+Bode Plot により制御系評価を簡略化できる

  • 振幅設定と測定帯域が評価精度を左右する

  • SDS7000A は制御系の初期検証に非常に有効

 

 

 

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