地上-衛星間光通信において、**ポインティングロス(Pointing Loss)**は、大気ゆらぎと並んで通信品質を左右する極めて重要な要因です。

衛星は時速2万キロ以上の猛スピードで移動しながら、数千〜数万キロ先の地上局へピンポイントでレーザーを照射する必要があります。このとき、衛星本体の微細な振動(ジッタ)や追尾誤差によって光軸がわずかにズレるだけで、受信電力は劇的に低下します。


1. ポインティングロスの物理的メカニズム

レーザー光は非常に鋭い指向性(ビームダイバージェンス)を持っており、遠距離ではわずかな角度のズレが地上での数キロメートルのズレに相当します。

  • ビームのプロファイル: 一般的にレーザービームは中心強度が最も高く、外側に向かって減衰する**ガウス分布(Gaussian Beam)**の形状をしています。

  • ズレの影響: 光軸が中心から θ だけズレると、受信電力 Pr は指数関数的に減少します。


2. 数学的モデル:ベックマン分布 (Beckmann Distribution)

ポインティング誤差による強度のゆらぎをシミュレーションする際は、多くの場合、ガウスビームの断面形状と、ズレ(ジッタ)の統計分布を組み合わせてモデル化します。

衛星の揺れが水平・垂直方向に独立したガウス分布(分散 $\sigma_s^2$)に従うと仮定すると、中心からのズレ角度 $r$レイリー分布に従います。これに基づく受信強度の確率密度関数(PDF)は以下のようになります。

 
 

ここで、 γ は「ビーム幅」と「ポインティングジッタ」の比率を示す重要なパラメータです。

  •  γ が大きい: 揺れに対してビームが十分に太く、安定している。

  •  γ が小さい: 揺れの影響が支配的で、頻繁に通信断が発生する。


3. 大気ゆらぎとの複合影響(Combined Model)

実際の通信では、**「大気ゆらぎ(ガンマ・ガンマ分布)」「ポインティングロス」**が同時に起こります。これをシミュレーションでは「乗算」として扱います。

Itotal = Iatmospheric X  Ipointing

この複合モデルを用いることで、誤り訂正符号(FEC)がどの程度の「フェージングの深さ」まで耐えられるかを正確に評価できます。

要因 影響の速さ 主な対策
大気ゆらぎ 数msオーダー(高速) FEC、インターリーブ、補償光学
ポインティングロス 数Hz〜数百Hz(中速) 高精度ジンバル、高速操舵ミラー (FSM)

4. 克服に向けた次世代技術

ポインティングロスを最小限に抑え、FECの負担を減らすために以下の技術が導入されています。

  • PAT (Pointing, Acquisition, and Tracking): ビーコン光を用いて相手を捕捉し、ナノラジアン単位の精度で追尾し続ける技術。

  • FSM (Fast Steering Mirror): 衛星内部の微小な振動を相殺するために、超高速で角度を変える小型ミラー。

  • 適応型ビーム制御: ポインティング誤差が大きいときは、あえてビームを少し広げて(デフォーカス)、切断のリスクを回避する。


次のステップ

ポインティングロスと大気ゆらぎを統合した環境下で、DVB-S2Xの「スループット(伝送効率)」が具体的にどう変化するか、シミュレーション結果の例などを見てみましょうか?あるいは、具体的な衛星(Starlinkの衛星間光リンクなど)での事例についてもお話しできます。

 

 

 

出典:Google Gemini

 

 

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