●ケルビン接続とは?
ケルビン接続とは、抵抗測定や大電流測定などで用いられる 4 端子接続のことです。
計測器の電圧源と接続する『電流が流れる配線 2 本』と、入力インピーダンスが非常に高く電流がほとん ど流れない『電圧を測定する配線 2 本』をそれぞれ設け、この 4 本の配線を DUT(被測定物)に接続して 測定を行います。
電流が流れる配線をフォース(Force)、電圧を測定する配線をセンス(Sense)と呼びます。
図 1、非ケルビン接続
図1の非ケルビン接続では、計測器と DUT の間を、『電流が流れ、電圧も測定する配線 2 本』で接続しま す。 非ケルビン接続では、特に流れる電流が大きい場合に、配線抵抗による電圧降下の影響が大きくなるため、 計測器で表示されている電圧値と、実際に DUT 両端に印加されている電圧値の間にずれが生じます。
図2、ケルビン接続
図 2 のケルビン接続では、計測器と DUT を『電流が流れる配線 2 本』と、『電圧を測定する配線 2 本』の 計 4 本の配線で接続します。配線抵抗による電圧降下は、電流が流れる+/-Force 端子のみで発生します。 +/-Sense 端子は入力インピーダンスが非常に高いため電流がほとんど流れず、配線抵抗による電圧降下が 発生しませんので、計測器で表示されている電圧値が正しく DUT 両端に印加され、高精度な測定が行え ます。
●ケルビン接続を行う際の注意点
ケルビン接続を行う場合に重要なのは、デバイスに印加されている真の電圧をセンシングするように配線 接続を行うことです。単純に 4 本の線を配線接続しただけでは、高精度な測定を実現することは出来ませ ん。
図 2 のケルビン接続に赤丸で示した、+Sense、及び、-Sense が DUT と接続する部分を「ケルビンポイン ト」と呼びます。このケルビンポイントを、可能な限り DUT の近傍、かつ、フォース配線よりもセンス配 線が DUT 近傍になるように接続することが重要です。
なお、配線抵抗に比べて DUT の抵抗値が充分に大きい場合や、流れる電流が小さい場合には、ケルビン 接続を行う必要がありませんので、ケルビン接続を行うかどうかについては、電流の大きさや測定精度な どによって適宜選択をしてください。
●ケルビン接続用ケーブルの活用
高精度な測定を実現するケルビン接続ですが、接続ケーブルが煩雑になるという欠点があります。 このため、計測器のアクセサリーとしてケルビン接続専用のケーブルが用意されています。
図3、ケルビン接続専用ケーブル
ケルビン接続専用ケーブルは、ケーブル先端のクリップに電流が流れる配線(Force)と、電圧を測定する配 線(Sense)の 2 本が既に接続されています。 通常は、DUT に 4 本の配線を接続する必要がありますが、ケルビン接続専用ケーブルを使うと DUT に 2 本の配線を行えばよいため、手軽にケルビン接続測定が行えます。 なお、ケルビン接続専用ケーブルを使用する際も、クリップを出来る限り DUT の近傍に接続するように してください。
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