光アイソレーションプローブとは?高電圧測定を安全・高精度に行うための必須ツール
1. 光アイソレーションプローブとは?
光アイソレーションプローブとは、光(フォトカプラ)によって電気的に絶縁された信号伝送を行う特殊なプローブです。主にオシロスコープなどの測定機器と組み合わせて使用され、高電圧やノイズの多い環境での信号測定を安全かつ高精度に行うためのツールです。
このプローブは、測定対象と測定機器との間に直接電気的接続を持たないため、感電や機器の破損リスクを大幅に軽減します。また、コモンモードノイズの影響を受けにくく、より正確な波形観測が可能です。
2. なぜ“光絶縁”が必要なのか?
産業機器やパワーエレクトロニクス分野では、インバータやモーター制御、電源回路など、高電圧を扱う装置が多く存在します。これらの信号を測定する際、以下のような課題があります:
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感電や破損の危険性
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コモンモードノイズによる波形の乱れ
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接地系の違いによる測定エラー
光アイソレーションプローブを使えば、測定対象とオシロスコープ間が完全に絶縁されるため、安全性と測定精度の両立が実現できます。
3. 一般的な差動プローブとの違い
一般的な差動プローブは2つの入力間の電位差を測定する構造ですが、測定系自体は電気的に接続されています。
一方、光アイソレーションプローブは、光を使って信号を伝達するため、完全なガルバニック絶縁(電気的絶縁)が保たれます。
項目 | 差動プローブ | 光アイソレーションプローブ |
絶縁方式 | 電気的(部分的) | 光学的(完全絶縁) |
コモンモード耐性 | 中程度 | 非常に高い |
安全性 | 通常レベル | 高電圧環境でも安全 |
測定精度 | 高いがノイズ影響あり | 高精度&ノイズに強い |
4. Micsig MOIPシリーズの特長
Micsig社のMOIPシリーズは、光アイソレーションプローブの中でも小型・高性能・手頃な価格を実現した人気製品群です。
主な特長:
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帯域ラインナップ:100MHz〜1000MHz(MOIP100P〜MOIP1000P)
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高いコモンモード除去性能(CMRR)
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安全規格に準拠(CATⅢなど)
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低ノイズ設計
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USB給電式で取り回しが良い
5. 使用事例:どんな場面で使われる?
光アイソレーションプローブは以下のような用途で活用されています:
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EV/HV車のモーター制御回路の測定
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インバーターのスイッチング波形確認
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パワー半導体の駆動信号測定
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絶縁型ゲートドライバの検証
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医療機器や航空機器のノイズ評価
特にダブルパルステスト(パワーデバイスのスイッチング性能評価)では、MOIPシリーズが多くの技術者に支持されています。
6. よくある質問(FAQ)
Q1. 光アイソレーションプローブとは何ですか?
A. 光で絶縁されたオシロスコープ用のプローブで、高電圧環境でも安全に信号を測定できます。
Q2. 一般的な差動プローブと何が違いますか?
A. 光で完全絶縁されており、ノイズ耐性と安全性が非常に高い点が特徴です。
Q3. どのような測定に向いていますか?
A. 高電圧スイッチング回路、パワーデバイス、インバータなど、絶縁と高精度が求められる測定に適しています。
Q4. Micsig MOIPシリーズにはどんな種類がありますか?
A. 帯域や最大入力電圧が異なる6種類(100P/200P/350P/500P/800P/1000P)があります。
Q5. 使用するオシロスコープに制限はありますか?
A. 一般的なBNC入力がある機種で使用可能です。USB電源供給が必要です。
7. まとめ
光アイソレーションプローブは、高電圧環境下でも安全・高精度に測定を行うための強力なツールです。特にパワーエレクトロニクス分野やEV開発に携わる技術者にとって、Micsig MOIPシリーズは性能・コストパフォーマンスともに優れた選択肢です。
測定の信頼性と安全性を高めたい方は、ぜひ導入をご検討ください。