誘電率とは
誘電率(Permittivity)とは、電場に対して物質がどれだけ電気的に極化(内部の電荷が偏る現象)しやすいかを示す物理量です。
簡単に言えば、「電気をどれくらい通しにくくするか(蓄えるか)」を表す値であり、電子材料や通信技術において非常に重要な指標です。
誘電率の基本
誘電率は通常「ε(イプシロン)」で表され、以下の2種類があります。
種類 | 説明 |
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真空の誘電率(ε₀) | 真空中での定数。約8.854×10⁻¹² [F/m]。基準となる値です。 |
相対誘電率(εr) | 特定の物質が持つ誘電率。真空の誘電率との比で表され、εr = ε / ε₀ で計算されます。 |
誘電率が高い材料は、電場にさらされたときに大きく極化しやすく、電気エネルギーを蓄える能力が高くなります。
誘電率とT&M製品
T&Mコーポレーションでは、誘電率に関する評価・測定に活用できる計測器を多数取り扱っています。
以下はその代表的な製品です。
1. ベクトルネットワークアナライザ(VNA)
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製品例:SIGLENT SNA5000A / SVA1000Xシリーズ
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用途:反射係数や透過係数(Sパラメータ)から、材料の複素誘電率を算出。主に高周波基板や絶縁材料の特性評価に使用されます。
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特徴:非破壊で広帯域な周波数特性を取得可能。
2. インピーダンスアナライザ / LCRメータ
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製品例:TECHMIZE TH510 CV / TH1920シリーズなど
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用途:キャパシタや誘電体の静電容量測定から、静的な誘電率を計算可能。
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特徴:部品評価や材料研究などに広く使用され、低周波領域の測定に強みを持ちます。
3. ソースメジャーユニット(SMU)
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製品例:TECHMIZE TH199Xシリーズ
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用途:微小電流測定により、誘電体のリーク電流や分極特性の評価が可能。
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特徴:精密な電圧・電流制御が求められる材料試験に適しています。
誘電率の重要性
誘電率は、以下のような分野で欠かせない物性値です:
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通信機器(高周波回路、アンテナ設計)
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自動車(電動化部品、センサー材料)
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医療機器(レーダー、CTなど)
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電子部品(キャパシタ、プリント基板)
誘電率を正確に把握・評価することで、製品の性能向上、設計最適化、信頼性評価につながります。
おわりに
T&Mコーポレーションでは、誘電率をはじめとした材料電気特性の評価に役立つ計測機器を幅広く取り揃えております。
高精度・高信頼の測定ソリューションをご提供し、お客様の研究・開発・品質管理を力強く支援いたします。
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