オシロスコープのサンプリングレートとは?

 

サンプリングレート(Sampling Rate)とは、オシロスコープが1秒間に信号を何回測定(サンプリング)できるかを表す指標です。
単位は **Sa/s(サンプル毎秒)**で表され、一般的には以下のように記載されます:

  • 1GSa/s(10億回/秒)

  • 500MSa/s(5億回/秒)など

サンプリングレートが高いほど、波形を細かく・正確に再現できます。


■ なぜ重要なのか?

オシロスコープの目的は、アナログ信号をデジタル波形として可視化すること
サンプリングレートが不足すると、波形が正しく表示されず、「波形が歪んで見える」「周期が不正確になる」といった現象が起こります。


■ 選定の目安

基本の目安は:

観測したい信号の最高周波数 × 10倍以上のサンプリングレート

観測信号 推奨サンプリングレート
10MHzクロック信号 100MSa/s以上
高速パルス(立ち上がり数ns) 1GSa/s以上
CAN/UARTなどデジタル通信 500MSa/s〜1GSa/s

■ 実際の波形への影響

サンプリングレート不足時に起こる問題
波形の形が乱れる、または見えない
周期測定・立ち上がり時間測定が不正確
リングやノイズが見落とされる
周波数成分が欠落する(エイリアシング現象)

■ T&M取扱製品の例(サンプリングレート別)

製品名 最大サンプリングレート 用途
Micsig TO1104 1GSa/s 教育・実習用に最適
SIGLENT SDS1104X-E 1GSa/s 開発・測定業務に定番
SIGLENT SDS2104X Plus 2GSa/s 高速信号対応。FFT搭載
Micsig MDO5004 2GSa/s 12ビット分解能・長時間記録に対応
SIGLENT SDS3000X HD 4GSa/s 高速・高分解能。高度な波形解析に最適

■ 補足:等価時間サンプリングとの違い

一部のハイスピード機種では「等価時間サンプリング(ETS)」を採用し、繰り返し波形を疑似的に高精度再現する方式もありますが、これはリアルタイムサンプリングとは異なり、非周期信号には使えません


まとめ

  • サンプリングレートは、波形再現の正確さを左右する重要な性能

  • 測定対象信号の10倍以上を目安に選ぶ

  • 高速信号や急峻なパルスを扱う場合は1〜4GSa/sが望ましい

T&Mコーポレーションでは、500MSa/sから4GSa/s対応のモデルまで、幅広いオシロスコープをラインナップしています。
製品選定やデモ機希望など、お気軽にご相談ください。

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