シリーズ電源とリニア電源の違いとは?

電源装置においてよく見かける用語「リニア電源」と「シリーズ電源」は、似ているようで少し意味が異なります。
本記事では、この2つの用語の関係性と違いをわかりやすく解説します。


リニア電源とは?

リニア電源(Linear Power Supply)とは、入力された電圧をトランスや整流回路を経てアナログ方式で安定化させる電源の総称です。
出力を制御する方式としては、「シリーズレギュレータ方式」や「シャントレギュレータ方式」などがあります。


シリーズ電源とは?

シリーズ電源は、リニア電源の一種であり、特に出力制御に直列に接続したトランジスタ(またはFET)を使う方式を指します。
これはリニア電源の中で最も一般的な構成であり、現在「リニア電源 ≒ シリーズ電源」として扱われることも多くあります。


両者の関係性まとめ

用語 意味・範囲
リニア電源 アナログ制御方式の電源の総称(シリーズ式を含む)
シリーズ電源 リニア電源の一方式で、直列制御素子を用いる方式

つまり、「リニア電源」はカテゴリ名、「シリーズ電源」はその中の一構成方式です。
全てのシリーズ電源はリニア電源ですが、リニア電源=シリーズ電源とは限らないという点がポイントです。


よくある誤解と補足

  • 「シリーズ電源」と「リニア電源」はほぼ同義語として扱われることもある
    → 実際の製品紹介や仕様書では、明確に区別せずに使われているケースが多いです。

  • 「スイッチング電源」はこれらとは**別方式(デジタルPWM制御)**です。


どちらを選べばいい?

製品選定時に明確な区別が必要なケースは少ないですが、ノイズ耐性や精度を重視する場合には「リニア/シリーズ電源」を選ぶとよいでしょう。

用途例 おすすめ
アナログ回路、センサ回路の評価 リニア電源(シリーズ方式)
高効率・大出力・可搬性が必要な場合 スイッチング電源

まとめ

  • リニア電源はアナログ制御の電源全般のこと

  • シリーズ電源はリニア電源の一種で、最も一般的な方式

  • 両者は似ているが、厳密にはリニア>シリーズという関係

両者の違いを理解することで、電源装置の仕様や用途に応じた正しい選定が可能になります。