オシロスコープの「絶縁」とは?

オシロスコープにおける「絶縁」とは、測定対象回路とオシロスコープの間で電気的に直接つながらない状態を指します。主に、安全性の確保や誤測定の防止、回路の破損リスク回避を目的として、絶縁されたプローブや装置が使用されます。


なぜ絶縁が必要か?

多くのオシロスコープは電源と接地(アース)されており、プローブのグランド端子も接地されています。そのため、異なるグランドポテンシャルを持つ回路や高電圧回路の測定時に、ショートや故障、感電の危険性が生じることがあります。

このようなリスクを回避するために、絶縁測定が重要となります。


絶縁測定の代表的な方法

  • 光アイソレーション差動プローブの使用
    完全に電気的絶縁されたプローブで、安全に高電圧や異なるグランド間の信号測定が可能です。Micsig製「MOIPシリーズ」などが代表例です。

  • バッテリー駆動型オシロスコープの使用
    電源から独立したオシロスコープで、グランドが接地されていないため、フローティング状態で自由に測定が可能です。Micsig「ATOシリーズ」などがあります。

  • アイソレーションアンプの利用
    信号を絶縁しながらオシロスコープに入力することで、安全に測定が可能です。


絶縁と差動の違い

種類 特徴 絶縁の有無
標準パッシブプローブ グランド共通 ×
差動プローブ(一般) 差動測定は可能だが絶縁ではない
光絶縁差動プローブ 高速かつ安全な絶縁測定
バッテリー駆動オシロ 本体自体がフローティング

注意点

  • 市販のオシロスコープで「絶縁測定」が可能かどうかは、必ず製品仕様書を確認してください。

  • 誤った接続は、測定器や回路を破損させるだけでなく、火災や感電事故につながる可能性があります。


関連用語

  • 差動プローブ

  • フローティング測定

  • グランドループ

  • 光アイソレーション