チャージ電流とは

~コンデンサや誘電体に電圧を印加した際に流れる“充電電流”~


■ 定義

チャージ電流(charge current)とは、主にコンデンサや誘電体など容量性デバイスに電圧を印加した際に流れる“充電のための電流”を指します。

これは、電荷が蓄積される過程で一時的に流れる電流であり、コンデンサが満充電に近づくとともに減少していきます。


■ 基本式

理想的なコンデンサに対するチャージ電流 II は、以下の式で表されます:

I(t)=C⋅dV(t)dtI(t) = C \cdot \frac{dV(t)}{dt}

  • CC:静電容量(F)

  • dV(t)dt\frac{dV(t)}{dt}:印加電圧の時間変化率(V/s)

➡ 電圧を急激に変化させる(ステップ印加など)と、瞬間的に大きなチャージ電流が流れます。


■ 代表的な用途・文脈

分野・用途 説明
コンデンサの充放電挙動 大容量コンデンサ(電解、フィルム等)の立ち上がり時の過渡電流
C-V測定 バイアス印加時のチャージ電流を基に、容量特性やリーク成分を評価
高電圧印加試験(DC耐圧など) 初期チャージ電流が急増するため、測定器には保護回路が必要
電源・DC-DCコンバータ 出力コンデンサへのチャージ電流による突入電流(inrush current)制御が必要

■ 測定機器・注意点

項目 内容
測定機器 ソースメジャーユニット(SMU)、パルス電源+電流プローブ、CVアナライザ等
注意点 測定対象によっては、チャージ電流とリーク電流を分離して評価する必要あり(例:絶縁膜特性評価)
波形特徴 矩形波印加時、チャージ電流は最初にピークを持ち、指数関数的に減衰する形となる(RC定数に依存)

■ 関連用語

用語 定義
リーク電流 電荷が蓄積された後も流れ続ける電流(=絶縁の不完全さの指標)
突入電流(inrush current) 電源投入時、電解コンデンサなどに流れる大きなチャージ電流
ディスチャージ電流(放電電流) 貯めた電荷を放出する際の電流

■ まとめ

項目 内容
チャージ電流とは? 容量性素子に電圧を印加したときに生じる充電電流
影響要素 容量値、印加電圧、電圧の立ち上がり速度(dV/dt)
評価での注意点 瞬時の大電流に対する機器保護、リーク電流との識別
用途例 C-V測定、絶縁評価、電源設計、突入電流解析など

T&Mコーポレーションでは、チャージ電流を高速かつ高分解能で測定可能なソースメジャー機器やC-V特性アナライザを取り揃えており、
半導体評価・絶縁膜解析・高電圧部品の初期挙動評価など、多様なアプリケーションに対応可能です。