ソースメジャーユニット(SMU)の使い方ガイド

〜基本操作からアプリケーション例まで〜

SMUとは?その基本をおさらい

ソースメジャーユニット(Source Measure Unit, SMU)は、電圧・電流を「供給(ソース)」しながら同時に「測定(メジャー)」できる高精度電子計測器です。半導体デバイス、電子部品、太陽電池、LED、センサーなどの特性評価に広く使われています。

 

SMUの基本的な使い方

1. 測定準備と接続

  • 使用する端子を確認:通常は2端子(Force/Measure)または4端子(Kelvin)で構成されています。高精度測定では4端子接続が推奨されます。

  • 被測定デバイス(DUT)に接続:極性に注意しながら、対象デバイス(DUT)にSMUを接続します。

  • 初期設定:電源オン後、必要に応じてゼロリセットや接続チェックを行います。

 

2. 動作モードの選択

SMUは、主に以下の4つの動作モードで使用します:

モード名 内容
CV(電圧ソース・電流測定) 指定電圧を印加し、そのときの電流を測定
CC(電流ソース・電圧測定) 指定電流を流し、そのときの電圧を測定
Sweep(スイープ測定) 電圧/電流を変化させながら連続測定(IVカーブなど)
Pulse(パルスモード) 短時間の電圧または電流パルスを印加して応答を取得

 

3. パラメータ設定

  • ソース電圧/電流:印加する電圧(例:0〜5V)または電流(例:1μA〜100mA)を設定。

  • コンプライアンス設定:デバイス保護のため、最大電流/電圧を制限(例:電圧印加時に最大10mAまで)。

  • 測定レンジ/分解能:測定対象に応じて自動または手動で調整。

  • スイープステップやパルス幅:連続測定時のステップ数、待機時間、ホールドタイムなども設定。

 

4. 実行と測定データの取得

  • スタートボタン/トリガー信号で測定開始

  • 画面表示/PC連携でリアルタイムに測定波形を確認可能

  • ログ保存:USBメモリ、PCソフトウェア(例:LabVIEW、Python、Excel連携など)を活用してデータを記録。

 

アプリケーション別の使い方事例

● 半導体デバイスのIV特性測定

  • MOSFETやダイオードの順方向・逆方向特性

  • ゲートリーク電流やしきい値電圧(Vth)測定

  • Vgs vs Id 曲線、Vds vs Id 曲線の自動取得

● 太陽電池やLEDの特性評価

  • 光照射下でのIVカーブ測定

  • 開放電圧(Voc)、短絡電流(Isc)の測定

  • エネルギー変換効率評価

● センサー評価(抵抗変化型、電圧応答型など)

  • 環境条件変化に対する出力特性

  • ヒステリシス、感度、ノイズ特性の測定

 

測定時の注意点

  • ノイズ対策:シールドケーブルやグランドの適切な処理を行うことで、微小電流測定時のノイズ影響を最小限に。

  • 過電圧/過電流保護:コンプライアンス値の設定を適切に行い、デバイスを損傷から守る。

  • 温度ドリフトやリーク電流:測定精度が要求される場合は、温調室や静電対策のある環境で実施。

 

SMUの使い方を効率化するソフトウェア

近年のSMUには専用の制御・解析ソフトが付属またはオプションで用意されています。

  • Techmize Control Panel

  • LabVIEWドライバ、Pythonライブラリ

  • CSV/Excel出力対応の簡易測定ソフト

  • Keithley KickStart

これらを活用することで、スイープの自動化やレポート出力、グラフ表示までを効率的に行うことができます。

 

まとめ

SMUは高度な電子デバイスの評価において不可欠なツールです。基本的な操作を理解し、適切なパラメータを設定することで、安全かつ正確な測定が可能になります。

初心者の方も、まずは低電圧・低電流の簡単な測定から始めて、徐々にアプリケーション範囲を広げていきましょう。

製品選定や操作について不明な点があれば、T&Mコーポレーションまでお気軽にご相談ください。日本語での技術サポート、デモ機貸出も対応しております。