5G信号現場テスト方法について

1 概要

5Gは現在最も注目されている無線通信技術の一つであり、超高速通信と超低遅延を実現することで、新たなアプリケーションやサービスを提供し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることが期待されています。現在のホットな話題の一つが、O-RAN(オープン無線アクセスネットワーク)アーキテクチャを活用した5Gネットワークです。

3GPPの規定によると、5Gには2つの基本的な周波数範囲(FR1およびFR2)が存在します。

  • FR1:450MHz~7.125GHz
  • FR2:24.25GHz~52.6GHz

現在、国内での主な5Gの展開は7.125GHz以下の周波数帯域に集中しています。



2 課題

5Gの基地局は従来よりも密に配置され、その形態も多様化しています。従来の統合型のマクロ基地局に加え、多アンテナのMassive MIMO基地局、小型基地局(スモールセル)、超小型基地局(PICOセル) などが増加しています。特にO-RAN技術は、運用コストを大幅に削減できるメリットがありますが、異なるメーカーの射頻ユニット(RU)を統合するため、設定方法やパラメータが異なり、従来のネットワーク機器とは異なる設置・運用・テスト手法が求められます。

5G現場テストで重要な測定項目

  • 信号品質とビーム性能の検証
  • 干渉の特定と除去
  • アンテナ・フィーダーのテスト


3 解決策

3.1 信号品質とビーム性能の検証

5G NR基地局はビームフォーミング技術を使用し、信号を特定の方向へ放射します。各ビームは**SSB(同期信号ブロック)**として定義され、スマートフォンは複数の基地局からのSSBを検出・測定し、最も強いビームを利用して通信を確立します。

   

 

そのため、5G基地局の展開時には、信号品質とビーム性能を検証する必要があります。この際、測定機器は周囲の基地局の主要な指標を取得し、以下のパラメータを測定できる必要があります。

  • チャンネルパワー
  • 信号品質(RSRP、RSRQ、RSSI)
  • SSBインデックス
  • 周波数誤差

SHA860 手持ち信号分析計は、LTEおよび5G NRの主要パラメータ測定機能を備えており、RSRP・RSRQ・RSSIなどの指標をリアルタイムで取得可能です。
また、NSA(非独立型)5Gネットワークにおいて、LTEと5Gの小区間を同時に監視し、適切なネットワーク接続を確保できます。

   

 

さらに、SHA860の5G NR OTAモードでは、以下の高度な測定機能を提供します。

  • 周波数・物理セル識別コード(PCI)
  • SSBインデックス
  • 周波数誤差
  • SSB信号品質(EVM測定)
  • 星座図表示 

      
       

 

 

  • 主同期信号(PSS)および補助同期信号(SSS)のチャンネルパワー測定
  • 4G/5Gのハンドオーバー検証
  • 自動SSB検出および全小区測定
  • GNSS 1PPS信号による内部同期(Gateスキャン対応)
  • 4G/5G信号のフレームヘッド遅延測定


       



3.2 干渉の特定と排除

5Gの普及に伴い、基地局間の密度が増し、ダウンリンク・アップリンクのノイズレベルが増加しやすくなっています。
この影響により、携帯端末が送信出力を増やし、それが基地局アンテナのアップリンクノイズを増加させるという悪循環が発生します。

また、外部干渉も5Gネットワークに大きな影響を及ぼします。

  • 異なる事業者間の周波数競合
  • 不適切なネットワーク設計
  • 違法な周波数利用 など

SHA860信号分析計は、以下の機能で干渉信号を検出・解析できます。

  • GNSS 1PPS信号で内部トリガーを同期し、Gateスキャンモードでスペクトラムを安定測定


       


  • ゼロスパンモードで上りリンクの時域信号を直接観測
  • 最大30万回/秒のFFT解析を実行するリアルタイムスペクトラムアナライザ(RTSA)

       



  • スペクトログラム(瀑布図)で時間と周波数の変化を記録し、12.5万フレームの信号履歴を再生
  • 頻度マスクトリガー(FMT)機能により、特定の周波数範囲でイベントを検出・記録

       



3.3 アンテナ・フィーダーの測定

アンテナやケーブルの不具合は、基地局のパフォーマンスに直接影響し、カバレッジ不足や通信品質の低下を引き起こします。
最悪の場合、損傷したアンテナやフィーダーが送信機に過負荷をかけ、機器の故障を引き起こす可能性もあります。

   

 


SHA860は、以下の測定機能を提供し、迅速かつ正確に問題を特定できます。

  • ケーブル損失測定
  • アンテナのリターンロス・VSWR測定
  • 故障点診断(DTF)
  • 無線伝送リンクの基本測定

さらに、オプションでベクトルネットワークアナライザ(VNA)機能を追加可能で、S11・S21のベクトル測定や110dBのダイナミックレンジを提供します。

   

 



4 まとめ

SHA860シリーズは、コンパクトで軽量(バッテリー駆動で2.5時間以上動作)し、20秒の高速起動を実現する、現場向け測定ツールです。
✅ 4G/5Gの電波測定・解析
✅ リアルタイムスペクトラム解析(110MHz帯域幅)
✅ アンテナ・フィーダー測定(VSWR、DTF)
✅ 干渉信号の正確な検出・特定

SHA860は、5G基地局の展開・保守・現場テストに最適なツールです! 🎯



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