インピーダンスとは
**インピーダンス(Impedance)とは、交流電流に対する「電気的な抵抗の大きさ」を表す量で、単位はオーム(Ω)**です。
直流回路における「抵抗(レジスタンス)」を、交流信号に拡張した概念といえます。
インピーダンスの定義
インピーダンス ZZ は、**抵抗成分(R)とリアクタンス成分(X)**の合成値で構成され、複素数として表現されます:
Z=R+jXZ = R + jX
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RR:抵抗成分(直流にも交流にも作用)
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XX:リアクタンス(交流のみに作用、コンデンサやコイルの影響)
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jj:虚数単位(j2=−1j^2 = -1)
インピーダンスと周波数の関係
インピーダンスは、信号の周波数に応じて変化します。
素子 | インピーダンスの傾向 |
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抵抗(R) | 周波数によらず一定 |
コンデンサ(C) | 周波数が高いほど小さくなる(Z = 1/jωC) |
インダクタ(L) | 周波数が高いほど大きくなる(Z = jωL) |
※ω(オメガ)は角周波数で、ω = 2πf(fは周波数)
実用上のインピーダンスの例
分野 | 内容 |
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電子回路設計 | インピーダンス整合(50Ω同軸ケーブルなど)により信号反射を抑制 |
高周波測定 | VNA(ベクトルネットワークアナライザ)などでSパラメータ測定時に使用 |
オーディオ | アンプとスピーカーの間でインピーダンスマッチングが重要 |
電源設計 | 出力インピーダンスや負荷インピーダンスが動作安定性に影響 |
インピーダンスと反射の関係
特に高周波回路では、送信側と受信側のインピーダンスが一致しないと信号が反射し、波形が乱れる原因になります。
この状態を「インピーダンス不整合」といい、対策として「インピーダンス整合」が行われます。
インピーダンスの測定方法
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LCRメーター:低周波〜数MHzまでの部品評価
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VNA(ベクトルネットワークアナライザ):RF・マイクロ波領域の特性評価
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オシロスコープ+シグナルジェネレータ:簡易的な測定・可視化に使用されることも
まとめ
インピーダンスは、交流信号に対する回路や部品の「複雑な抵抗の性質」を表す重要な指標です。特に高周波回路や精密設計では、インピーダンスの管理が信号品質・動作安定性に直結します。基礎から応用まで、理解が進むほど、正確な測定と適切な設計につながります。