こちらは「ノイズ対策でのオシロスコープの使い方」に関する実践的な解説です。
電子機器のトラブルや品質不良の原因になりやすい電気的ノイズを、オシロスコープでどのように発見・分析・対策するかをご紹介します。
🔧 ノイズ対策でのオシロスコープ活用手順
① ノイズの「見える化」
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目的:どんなノイズが、いつ・どこで出ているかを波形で把握する
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設定ポイント:
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帯域幅:できるだけ広く設定(高周波ノイズも見えるように)
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Volt/div:ノイズレベルが微小な場合、感度を上げる(例:10mV/div)
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Time/div:パルス性ノイズなら短く(例:1μs/div 以下)
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✅ プローブのGNDは最短距離で接続(GNDループでノイズが見えなくなることも)
② トリガ設定でノイズを捕まえる
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Trigger Type:「Edge(立ち上がり/下がり)」を基本に
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Trigger Level:ノイズが飛び出す電圧レベル付近に合わせる
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Single(単発)モードを使うと、一瞬のノイズも記録可能
✅ 「High Frequency Rejection」や「Low Pass Filter」などのフィルタ機能をOFFにしておくとノイズが隠れにくい
③ FFT(周波数分析)でノイズの周波数を特定
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対応機種ではFFT(高速フーリエ変換)でノイズ源の周波数を推定
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例:ACアダプタ由来なら 50Hz / 100Hz
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スイッチング電源由来なら 数十kHz~MHz
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✅ 周波数が分かれば、EMIフィルタやバイパスコンデンサ設計に活用可
④ ノイズの発生源の推定と対策
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信号線 vs 電源線 vs GNDライン どこから来ているかを比較測定
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遮蔽(シールド)前後の変化を見る
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フィルタ有無での変化を見る
→ 対策の前後で波形のノイズ量がどう変化したかを数値で比較する
🛠 おすすめ機能(対応機種)
機能 | 説明 | 対応ブランド例 |
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高分解能(12bit) | 微小ノイズの可視化 | SIGLENT SDS2000X HD, Micsig STOシリーズなど |
波形レコーダ | 長時間モニタリングして一瞬のノイズを検出 | SIGLENT SDS1104X-E など |
ゾーントリガ | 特定の波形だけを検出 | 上位機種に搭載(SDS3000X HDなど) |
FFT解析機能 | ノイズの周波数特定に便利 | SIGLENT、Micsig各機対応 |
🎯 まとめ
オシロスコープは、**「ノイズの存在」と「ノイズの発生条件」**を目に見える形で明らかにできる強力なツールです。
ノイズ対策では、「見つける → 周波数を知る → 発生源を探る → 対策する」の流れが基本です。